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筑波大学附属高等学校 2023年出題傾向リサーチ

出題傾向リサーチ

英語

1 リスニング問題:小問数6

男女二人の対話を聞き、内容に関する質問に対して4つの選択肢から正しい答えを選ぶ形式です。筑波大附高では数値を正確に聞き取る問題が頻出です。

2 物語文の読解(約870語):小問数13

馬との交流に奮闘する女性の物語文です。話の展開や登場人物の考えを理解し、類推する必要がある問題が中心で、省略された内容を選ぶ問2や、本文の空欄に補う適切な英文を選ぶ問3、4は例年通りの形式でした。下線部の内容を日本語で説明する問5の形式も筑波大附高では頻出です。2023年は問6で、物語の流れに合うように4つの英文を並べかえる形式のものが出されました。空所に入れる動詞を選び、適切な形に変化させて補う問8は、単語の知識だけでなく、注釈を頼りに場面をイメージすることが大切でした。

3 物語文の読解(約980語):小問数11

ある女王と、彼女に捕らえられた美しい歌声を持つ鳥の物語文です。与えられた英単語を文脈に合うように並べかえる問3は、複雑な文構造にどれだけ慣れているかが試されています。大問2と同様に物語の理解度を測る問題が中心のため、展開をきちんと整理して読み進めることが大切です。空所に入る適切な語を本文から抜き出す問6では、該当箇所の前後の文脈を理解するだけでなく、時間内に本文全体から解答を探すことができたかどうかがポイントでした。

4 和文英訳:小問数4

英語で書かれた対話文の中で、与えられた日本語を英訳する問題です。筑波大附高では頻出の形式で、日本語では省略されている部分も英語で補いつつ、自分の知っている英語表現を使って書けるかどうかがポイントです。2022年に続き、新しく学習指導要領に加わった範囲の文法理解が問われました。

数学

1 二次関数と反比例

放物線と双曲線上に頂点がある平行四辺形に関連した問題でした。問題文を正しく読み取り、自ら図を描く必要があるため、難度は高くないものの、すべて正解するには時間がかかったことと思われます。

2 三角形の内接円

三角形の内接円に関する問題でした。筑波大附高の受検生であれば、類題を解いた経験もあったことでしょう。ほかの大問と比べると取り組みやすい設定だったので、確実に完答しておきたい大問でした。

3 速さの文章題

ある2地点を往復するバスについて考察する問題でした。(1)から(3)にかけて、次々と条件が増えていくので、その都度、情報を整理する必要がありました。状況を把握するのに時間がかかるため、時間内に正答まで導けた受検生は少なかったことでしょう。

4 空間図形

6つの合同なひし形でできる立体に関する問題でした。あまり見慣れない立体であったため、適切な平面を抜き出せても、角度や長さを勘違いしてしまった受検生は多かったと思われます。(1)は確実に正解し、(2)以降は慎重に解き進めていく必要がありました。

5 標本調査

ある中学校の3年生の睡眠時間について、標本調査を用いて調べる際のやり方と注意点を考える問題でした。すべての小問で、説明を記述する形式でしたが、問われている内容は基本的なものでした。数学用語の定義まで、きちんと学習していたかどうかで差がついたことと思われます。

国語

1 山下浩の文章

文学作品の鑑賞における作家の位置づけについて論じた文章からの出題です。前半で問題提起がなされ、後半で問題に対する解答が展開されるという明快な文章構成であったので、筆者の主張は把握しやすかったと言えます。記述は2問で、40字以内の字数制限のあるものと、字数制限のないものが出ました。いずれも筆者特有の表現の意味を説明するものでしたが、根拠とする箇所が明確なので、しっかりと得点したいところです。記号選択が4問出ましたが、そのうち2問は適切でないものを選ぶ形式でした。そのほか、漢字の書き取りが4問出されていますが、いずれも標準的な難度だったので、なるべく失点は避けたいところです。

2 はらだみずき『海が見える家 逆風』

無償で地元の住人から借りた畑を使用していた主人公と、地域住民とのやりとりを描いた文章からの出題です。会話文が多用されているので、読みづらさはありません。しかし、文中に法律の条文が挿入されていたため、そこで時間をかけてしまった受検生が多かったと思われます。2022年に続き、記述・抜き出し・記号選択がバランスよく出題されています。記述は2問で、大問1と同様に、字数制限のあるものとないものが出ました。制限字数20字以内のものは根拠とする箇所が指定されていたため、確実に得点したいところです。字数制限のないものは、傍線部前後をしっかりと読むことで対応が可能でしたが、自分の言葉でまとめることが求められたため、点差のつきやすい問題であったと言えます。知識分野では、例年、語句の意味を選ぶものが2問出されていましたが、2023年は3問出されました。

理科

1 電流、光、運動とエネルギー(物理)

全体の大問数が例年の8題から4題に変わりました。大問1は物理分野の小問集合です。(2)、(3)②b、(3)③はやや間違えやすい内容ですが、いずれも標準レベルの典型問題で、その他は基礎問題です。筑波大附高らしい目新しい問題はなく、取り組みやすい内容でした。

2 中和(化学)

(1)~(3)はイオンや中和に関する基礎問題、(4)、(5)は標準から応用レベルの問題で、大問1と同様に変わった問題はありませんでした。(4)のグラフの作図は、イオンの様子を正確に把握して慎重に解き進めなければ間違えやすい問題です。(5)は中和の計算問題で、比の計算を正確に行う必要がありました。(4)、(5)については、類題の演習量によって得点差がついたと考えられます。

3 生殖、植物、生態系(生物)

(1)は生殖に関するやや発展的な知識の問題で、(2)、(3)は植物に関する基礎問題でした。(4)の生態系に関する記述問題は、ヒントとなる内容を読み取り、実験結果の原因に気がつく必要があったため、得点差がついたと考えられます。また、特に(4)②は実験の条件を正確に記述する必要があり、科学的思考力と記述力が問われています。

4 天体(地学)

南中高度や緯度、経度に関する標準レベルの典型問題が中心でした。特に(3)、(5)②は、国立大附属校や難関私立校の過去の入試問題で、類題を解いたことがあるかどうかで差がつきやすい内容でした。(4)は、その場で自分で図を描き、考える力が問われていて、やや難度が高いものでした。また、地学分野において例年出されていた、発展的な知識の問題はありませんでした。

社会

1 世界地理

アフリカ州や貿易・図法に関する出題でした。高度な知識を求められるものではなかったものの、独特なグラフが多く、読み取りには注意が必要でした。

2 日本地理

統計を用いた問題でした。出題頻度が高くないうえに、いくつかの統計を組み合わせて注意深く読み取らなければならない問題が複数ありました。文章記述問題も含めて全体的に難度は高めでした。

3 日本史・世界史(古代~近世)

試験と勉強の歴史をテーマとした出題でした。問題の大半は標準的な難度です。唐以前と宋の制度を比較する記述問題は、関連する問題に解答のヒントが含まれていて、粘り強く解答を作成する必要がありました。

4 日本史・世界史(近代~現代)

歴史上の資料を題材とした、明治時代以降の歴史についての問題でした。例年通り多くの受検生にとって初見の資料が多く、各時代の流れを正確に整理したうえで、解答を導くためのキーワードを見つける必要がありました。

5 政治

基本的人権と国の政治の在り方に関する文を題材として、憲法・人権・国会などに関して正誤を判断する形式で問われました。正誤を判定する論点がやや細かいものもあり、正確な知識が要求されました。

6 経済

町内会の屋台を題材とした問題でした。問題に沿って計算をしつつ、身近な経済について考えていく出題は、例年の傾向を踏襲するもので、この大問にかけられる時間をどのくらい残せていたかが重要でした。