西大和学園高等学校〈県外入試(仙台・東京・東海・高松会場)〉 2023年出題傾向リサーチ
出題傾向リサーチ
英語
1 リスニング問題:小問数8
生徒が学校の課題について調べるために図書館に来た際の司書との対話文を聞き、記号で答える問題で、2022年と同様の出題形式でした。設問Aは放送された内容に関する4つの質問に記号で答える問題でした。設問Bは珍しい本を取り扱う際の行動で必要なものと不必要なものを選ぶ問題で、情報を細かく聞き取る力が問われました。
2 並べかえ英作文:小問数3
3年連続で並べかえ英作文が出題されましたが、2021年、2022年の出題形式と異なり、日本文があらかじめ示されていました。設問はいずれも標準的な難度なので、確実に正解したいところです。
3 和文英訳:小問数3
例年通り、与えられた日本文を英訳する形式が出されました。話し言葉を正確に英訳する力が問われており、英語で表現しにくい日本語をどのように表現するかが試されました。
4 説明文の読解(約740語):小問数9
技術の進化によって節約されたエネルギーが人の行動によって相殺されるという環境リバウンドについての説明文でした。問5では空所に入る数字を答える問題が2年連続で出され、計算力と論理的な思考力を必要とする問題と言えます。問9の日本語記述問題では、文章の内容を日常生活のなかの出来事と照らし合わせる柔軟な発想が求められました。
5 物語文の読解(約850語):小問数10
羊飼いだった少年が異国に来た場面から始まる物語文でした。問5の文整序は4年連続で出されていて、冠詞や対比構造に注意して英文を並べかえる必要がありました。問6の日本語記述は、抽象的な英文を分かりやすい日本語に訳す力が求められました。
数学
1 小問集合
(1)場合の数、(2)式の値、(3)整数、(4)二次方程式、(5)データの活用という構成でした。(1)から(4)は確実に得点したいところです。(5)は、データの活用の問題が直近10年ではじめての出題だったため、戸惑った受験生もいたことと思いますが、条件をもとに落ち着いて処理すれば、十分得点できる問題でした。
2 小問集合
(1)平面図形、(2)反比例、(3)三角形の内接円、(4)図形の証明問題でした。(2)は、反比例と図形の対称性をうまく活用できたかどうかが鍵でした。(4)はさまざまな解法があるため、より簡潔なものを選択して短時間で処理したいところです。
3 二次関数
放物線と直線に関する問題でした。(1)(2)は基本的な問題です。(3)は計算がやや煩雑になるため時間がかかった受験生も多かったことでしょう。(4)は(3)の解答をもとに考察するため、(3)ができたかどうかで大きく差がついたと思われます。
4 空間図形
直方体の切断に関する問題でした。(1)(2)(5)は典型的な問題なので、確実に正解したいところです。(3)は交点の位置を求める際に、適切な平面を取り出せたかどうかがポイントでした。(4)は、(3)で求めた交点の位置を用いて立体を把握するので、(3)が求められたのなら、(4)も解答したいところです。
国語
1 みうらじゅん『マイ仏教』
「機嫌」という言葉を手がかりに、現代人が生きやすくするにはどうしたらよいかを述べた文章からの出題でした。平易な言葉で書かれていたものの、内容はやや哲学的で細部まで内容を把握できた受験生は多くなかったかもしれません。記述2問の制限字数はそれぞれ70字と80字で、例年と同程度の分量でしたが、答えのまとめ方の巧拙によって点差がつく難度の高いものでした。記号選択も細かい部分まで吟味する必要があり、この大問に時間がかかった受験生もいたと思われます。
2 宮木あや子『手のひらの楽園』
主人公である女子高校生が、学校の寮のルームメイトとの関係を改善していく場面を描いた小説文からの出題でした。大問1と同様に平易な言葉で書かれた文章ですが、寮生活を経験したことのない受験生にとっては、ルームメイトに対する登場人物の心情は読み取りにくいものだったかもしれません。大問1と同様に記述が2問あり、制限字数はそれぞれ60字と70字で、必要な内容を的確にまとめる力が求められていました。また、記号選択では、2022年に続いて文章の表現に関する問題が出されています。
3 『大鏡』
2020年以降平安時代の文章からの出題が続いていて、2023年は平安時代の歴史物語からの出題でした。ところどころに現代語訳がついていましたが、複数の人物の言動が描かれていて、動作主の把握がうまくできなかった受験生もいたかもしれません。記述問題は、現代語訳1問と内容説明2問があり、いずれも単に古文単語の知識だけでなく文脈の正確な理解が必要でした。
理科
1 岩石、火山(地学)
岩石や火山に関する基礎的な知識とやや細かい知識を確認する問題がありました。記述問題では、現象の説明に対し詳細な指定語句が提示され、正確な知識が求められました。(7)~(8)は文章と表を読み取り、問われていることを慎重に判断したうえで計算する力が試されました。
2 気体、化学変化(化学)
さまざまな気体に関する知識と化学変化に関する計算問題でした。計算問題は、問題の条件を正しく使用するためには気体の化学変化に関する正確な理解が必要でした。(7)~(9)は中学校の理科では扱わないテーマで、的確な文章理解が求められました。
3 遺伝(生物)
(1)~(6)は、主に遺伝に関する基本的な知識としくみの理解について確認する問題でした。基本を理解していれば対処できたと考えられますが、実験の条件を丁寧に読み取る必要があります。(7)と(8)は、遺伝に関する応用レベルの問題でした。
4 力、運動とエネルギー(物理)
力やエネルギーに関する正確な知識と、実験結果を分析しながら正しく計算する力が求められました。エネルギーと運動に関する知識を問題の条件に合わせて活用できるかどうかが試されていて、難度が高かったと言えます。
社会
1 地理総合
世界地理は統計を、日本地理は地形図を主とする出題でした。全体的に難度が高く、豊富な知識量とそれをもとに統計を読み解く演習量の双方が求められました。地形図に関する記述問題は、難度は高くないものの高校入試での出題例が少なく、求められる知識を整理して簡潔にまとめる記述力が要求されるものでした。
2 歴史総合
日本史と世界史の総合問題でした。例年と同様に、各年代からまんべんなく出題され、史料の読み取りや年代の並べ替え、正誤の判定など、出題のパターンも多岐にわたりました。基本的なもの、高度な知識を問われるもの、一見易しそうに見えて多くの受験生がミスしてしまうものと難度もさまざまでした。基本的なものを取りこぼしてしまった受験生以外は、得点差がつきにくかったと思われます。
3 公民総合
公民の総合問題でした。例年通り地理や歴史と比較して問題数の少ない大問でした。時事の年表を題材としているものの、出題内容は政治、経済の基礎的な知識を問われるものなので、ほかの大問と比べて最も得点しやすい大問でした。ここを確実に得点できたかどうかで全体の得点が左右されたと思われます。