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東京都立国立高等学校 2023年出題傾向リサーチ

出題傾向リサーチ

英語

1 リスニング問題:小問数5

例年通り問題Aと問題Bに分かれています。問題Aは3つの対話文とその内容に関する質問がひとつずつ放送され、答えとして適切なものを選ぶ形式でした。問題Bは外国人の先生が中学生に向けて行ったスピーチについて、放送された質問に対して適切な答えを選ぶ形式と英語で記述する形式でした。

2 対話文の読解(約1040語):小問数10

理科部に所属する高校生が、「石けん分子」と泡の仕組みについて話し合う対話文です。2021年まで出題されていた理数系のテーマに戻りました。本文に書かれている情報とイラストを元に、難しいテーマの内容を正確に理解する必要があります。問4と問9の本文中の連続する語句を抜き出す問題は都立国立高では頻出で、文脈と品詞の両方を意識して、本文中から語句を探す必要があります。問5の並べかえ英作文は、文法的に正しい組み合わせを考えることに加えて、主語と目的語の位置に入る語句を、前後の文脈から正確に把握することが求められました。問8は本文中で描写された絵を選ぶ問題で、本文の情報を映像化する力が必要です。

3 物語文の読解(約1150語):小問数9

アメリカに移り住んだ少年が、現地の学校で仲良くなった友達と記念硬貨について発表する物語文です。問2は少年の父親の発言が表す意味を、父親の性格に関する描写から読み取る問題です。問3、問5の本文に関する設問に20語以上の英語で答える形式は2022年にも出題されています。問3は、とある動物の様子に例えた主人公の心境を、20語以上の英語で説明する問題です。問4は本文中の連続する語句を抜き出す形式でした。文脈把握に加えて話法の知識も求められ、根気強く本文中から該当の語句を探す必要がありました。

数学

1 小問集合

平方根の計算、連立方程式、二次方程式、確率、作図の5問からなる小問集合でした。〔問4〕までは基本問題で、ミスなく確実に正解したいところです。〔問5〕の作図は、等しい長さの使い方に気づけるかどうかがポイントでした。

2 二次関数

〔問1〕は格子点を数える問題、〔問2〕(1)は座標平面上の三角形の面積についての問題で、ここまでは基本問題でした。〔問2〕(2)は点が直線上にあることの証明でしたが、計算量が比較的多かったこともあり、どのように書くべきか戸惑った受検生もいたことでしょう。証明ができれば、そのあとの面積比の問題は易しかったはずです。

3

〔問1〕は角度を求める問題でした。根拠を持って解答するのはやや難しかったかもしれません。〔問2〕は二等辺三角形になることの証明で、基本的な問題でした。〔問3〕は長さについての応用問題で、類題の演習量によって差がついたと思われます。

4 空間図形

条件を満たしながら立体の内部を動く点についての問題でした。どの小問も条件の与え方が珍しく、点が動きうる範囲をとらえるのは難しかったと考えられます。計算量は多くありませんが、自信を持って解答できた受検生は少なかったことでしょう。

国語

1 漢字の読み取り

四字熟語を含む5問が出されましたが、かなり難度の高いものも含まれています。

2 漢字の書き取り

この大問でも、四字熟語を含む5問が出されました。読書を中心とする受検生の言語生活の質を試されるもので、かなり難度の高いものも含まれます。

3 瀧羽麻子『博士の長靴』

世代を超えて受け継がれていく季節の行事を通じて、結びつきを深める家族の姿を描いた小説文です。設問の形式は記号選択が中心でしたが、ほかの大問に比べてまぎらわしい選択肢は少なく、なるべく取りこぼしを避けたいところです。日本語の表現に関する設問では、設問文を丁寧に読み取ったうえで、本文から解答を吟味する必要がありました。

4 外山滋比古『日本語の論理』

日本語の論理を外国語のそれと比較しながら、日本人のものの考え方や文化のあり方を論じた文章です。5問あった記号選択のなかには、まぎらわしい選択肢も含まれていたため、注釈を参考にしながら筆者の考え方を丁寧に読み取る必要がありました。200字の作文も例年通り出されましたが、書くべきポイントを意識せずに、漫然と書くだけでは得点に結びつきません。

5 大岡信『私の古典詩選』

万葉集に収録された和歌の一形式について述べた文章です。設問の形式はすべて記号選択でしたが、選択肢にまぎらわしいものがあるので、文章の概要を掴むだけでなく、細部まで理解できているかどうかがポイントでした。言葉の意味も問われましたが、確実に得点しておきたいレベルです。