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早稲田大学高等学院 2023年出題傾向リサーチ

出題傾向リサーチ

英語

A 適語句選択・適語補充・正誤:小問数12

2021年から3年連続で文法問題が独立した大問として出されています。応用文法に関する問題や、くだけた日本語を英語に訳す問題が出され、差がついたと思われます。

B エッセイの読解(約890語):小問数19

日本に住む外国人が、部活動に取り組む中高生の忙しさについて親の視点から述べたエッセイです。毎年出されていた発音・アクセント問題はありませんでしたが、本文に関するさまざまな角度からの問いに対応できる力が求められている点は例年通りです。Ⅰのような本文のタイトルを選ぶ形式は近年の早大学院の特徴的な出題です。大問C、Dも合わせると総語数が2000語を超えているため、読解のスピードも求められました。

C 物語文の読解(約680語):小問数7

森に住む犬に育てられた人間の少女たちの、家族への思いやりと地位に対する欲をテーマにした物語文です。物語の展開を細かく理解できたかどうかがポイントの問題が多いため、厳しい時間制限のなかでも、焦らず正確に文章を読み進める必要がありました。

D 説明文の読解(約530語):小問数7

インターネットでいつでも人々と繋がることができる社会における問題点と、その解決策を述べた説明文です。大問Cと同様に、本文の内容に関する英語の質問に対して適切なものを選ぶ形式が大半でした。比喩表現の意味を捉えるⅡは前後の文脈をヒントに正解したい問題です。解答用紙に書かれた英語に続けて自分の考えを述べるⅦの条件英作文は2022年にも出題されました。身近なテーマではありますが、自分の考えを一文に簡潔にまとめる力が求められました。

数学

1 小問集合

(1)は二次式の平方完成、(2)は円の中に作った四角形の面積比の問題でした。(1)は難度は高くないので、落ち着いて解答し、正解したいところです。(2)は条件の与え方が珍しく、解答の糸口が見えづらい問題でした。

2 空間図形

向かい合う正方形の頂点を結んでできる多面体についての問題でした。比較的よく出題される立体なので、早大学院の受験生であれば、類題を解いた経験があると思われます。丁寧に処理して完答を目指したい問題でした。

3 二次関数

近年出題が続いている、図が与えられていない二次関数と図形の問題でした。(2)までは正解したいところです。(3)と(4)については、与えられた直線の式の傾きと切片の値が複雑なため、完答できた受験生は多くなかったと考えられます。

4 整数

与えられた一次式を満たす2つの整数を四捨五入した値を表す記号について、それらを含む式の値を考察する問題でした。考察にあたっては、まず手を動かして実験することで仕組みを理解していく必要があり、普段から丁寧に場合分けなどをして考える習慣があったかどうかが問われました。

国語

1 鈴木宣弘『食の戦争』

日本で食の安全が脅かされていることについて問題を提起した論説文からの出題です。具体例をまじえて論拠が丁寧に説明されていて、筆者の主張は理解しやすいものでした。設問構成は例年通り、抜き出しと不適切なものを答える記号選択が中心です。抜き出しのうち2問は「1語」で答えるもので、字数指定がないために答えを決めるのに苦心した受験生も多かったと考えられます。記号選択はまぎらわしいものが含まれているため、文章を読解するにあたって速読だけでなく、精読も求められる傾向が続いています。

2 福田育弘『ともに食べるということ』

日本の食事様式について述べた論説文からの出題です。受験生になじみのないジャンルの料理が複数挙げられているため、フランスとの対比をふまえながら落ち着いて読み進めていくことが求められています。設問構成は大問1と同様ですが、解答根拠は比較的明確でした。4年連続で出されている四字熟語の空欄補充は、基礎的な難度だったので確実に正解したいところです。

3 『花月草紙』

中国の古典に精通した貴人と、山で暮らす翁とのやり取りを描いた文章からの出題です。3問出された古文単語の意味についての記号選択は、辞書通りの訳を前提に、文脈をふまえた的確な判断が求められていました。文章の内容と合致しないものを答える記号選択では、登場人物に関する情報を正確に把握している必要がありましたが、文章量が増加したことも影響して、苦戦した受験生も少なくなかったと考えられます。