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慶應義塾志木高等学校 2023年出題傾向リサーチ

出題傾向リサーチ

英語

 物語文の読解(約730語):小問数13

住宅の購入を仕事にしている弁護士が受けた、とある依頼についての物語文です。適語補充、並べかえ英作文など、一般的な出題形式でしたが、物語の設定に関する背景知識が必要な問5や、主人公の心情を想像して英文を作る必要のある問6は難問でした。

 説明文の読解(約630語):小問数10

総合格闘技の歴史についての説明文です。慶應志木高で例年出されていた、2つの文を本文と照合して解く内容一致の問題はありませんでしたが、問4は本文の内容と一致するものをすべて選ぶ必要があり、慎重に検討する必要がありました。

 説明文の読解(約480語):小問数6

前向きになる方法について述べられた複数の短い英文の空所に補う文を選ぶ問題です。それぞれの文章の要旨を掴み、選択肢の内容と一致させる必要がありました。

 並べかえ英作文:小問数10

並べかえ英作文が10題と、小問数が2022年から倍増しています。高校範囲の知識も求められますが、素早く、確実に正解したい問題でした。

 多義語:小問数5

2つの英文の空所に共通する語を答える問題です。補う語のレベルが高く、全く思いつかない受験生もいたと思われます。

 適語補充選択:小問数8

英文中の空所に補う語を語群から選んで答える問題です。文脈を把握することに加えて、派生語の細かい区別が求められる難問でした。

 自由英作文:小問数1

慶應志木高では初の出題となる自由英作文です。「自分が作家なら何についての文章を書くか」がテーマで、仮定法を使って、正確に英文を記述する力が求められました。

数学

1 小問集合

(1)多角形内の角度、(2)整数、(3)式の値の3問構成でした。いずれも基本問題なので、時間をかけずに完答しておきたい問題です。

2 確率

コインを6回投げたときの確率を考える問題でした。(1)は典型問題ですが、(2)は条件が加わることで、場合分けなどを利用しても手間がかかったと思われます。

3

3つの辺の長さが与えられている三角形の外接円に関する問題でした。長さについては有名な値で、与えられ方が少し異なっているものの、冷静に対応できれば十分完答を目指せたことでしょう。

4 証明

対角線の長さが等しい台形についての証明問題でした。よく見かける構図ではあるものの、解法への道筋に戸惑った受験生もいたかもしれません。結論から推測してうまく解き進めたい問題でした。

5 文章題

食塩水に関する文章題でした。作業自体は非常にシンプルで難度も高くはないですが、計算の処理や解答に自信を持てない受験生もいたことでしょう。

6 空間図形

円柱と互いに接する3つの球についての問題でした。計算過程はやや複雑ですが、慶應志木高の受験生であれば類題演習の経験もあったと思われます。

7 二次関数

放物線と直線に関する問題でした。(1)は典型問題で、(2)以降は問題文の設定や前の問題をうまく活用できたかどうかで、解答するまでの時間に差がついたことでしょう。

国語

1 吉村昭『羆嵐』

2023年の大問数は2022年に引き続き4題でしたが、知識分野の大問が漢詩についての大問に変わりました。それ以前は1題のみ、2題、3題の年もあるため、今後も大問構成が変わりやすいことを念頭に、幅広いジャンルへの対応力が求められると考えられます。大問1は、羆(ひぐま)を倒した男と区長とのやり取りを描いた小説文からの出題です。語句の知識を要する設問もありましたが、ほとんどは文中に根拠が明確に示されているため、例年のような解きにくさはなかったと思われます。

2 武田尚子『チョコレートの世界史』

ココアが西洋に広がっていく歴史についての論説文からの出題です。論拠がわかりやすく述べられているので、文章内容を理解するのは難しくありません。ただし、本文全体をふまえて誤っているものを二つ答える記号選択では、細かいところまで読み取れていたかどうかが試されました。大問1同様に標準的な難度の設問でしたが、漢字の書き取りでは慶應志木高らしい高難度のものも出されています。

3 『紫式部集』

和歌3首とその詞書からの出題です。それ以外の文章が示されないという、高校入試の古文としては珍しい形式で、注釈を丁寧に読むことで、かろうじて理解できる難度でした。

4 『沙上鷺』/佐藤春夫の訳詩/吉川発輝の文章

漢詩『沙上鷺』とその訳詩に、解説文を加えた3つの文章からの出題です。表現技法や詩の形式についての知識が試される設問があり、入念に知識分野の学習をしてきたかどうかで点差のつきやすい大問でした。