渋谷教育学園幕張高校 2025年 教科別入試問題分析
教科別入試問題分析
英語

1 適語句選択(約280語):小問数10
芸術の価値の決め方に関する英文中の空所に入る語句を選択する形式で、主に動詞の語法や文構造に関する理解が求められました。例年は正誤問題が出されていますが、2023年・2025年と5年間で2回もこの形式が出題されているため、どちらにも備える必要があります。
2 並べかえ英作文(約200語):小問数4
学校で出される宿題の是非について述べた英文中の空所に、語句を並べかえて補う形式です。見慣れない単語や、置く位置に迷う単語が含まれていて、文法と文脈の両面から考える必要があります。
3 英文記述:小問数2
日本語の会話文中に引かれた下線部を英語に直す形式です。完成させる英文の一部が与えられていて、それを解答に活用する意識と自然な日本語をうまく英語で表現する力が求められました。
4 説明文の読解(約530語):小問数10
睡眠時の夢についての説明文で、内容に関する選択問題が中心でした。問2や問4では、睡眠の段階や、夢における種類の整理が求められ、本文と選択肢を丁寧に照合する必要があります。
5 エッセイの読解(約700語):小問数8
前向きに生きることの大切さに気付いた教師によるエッセイです。すべて内容に関する問題で、5つの選択肢を起こった順に並べかえる問1は、特に精読が求められました。日本語記述も2問あり、要点を簡潔にまとめる必要があります。
6 リスニング問題・小問数7
Part1、2に分かれていて、Part1は1回のみ、Part2は2回放送されます。Part1は短めの対話文が3つ、Part2は少し長めの物語文が1つで、すべて内容に関する質問への答えを選択する形式です。
年 | 長文読解 | 記述 | 文法 | リスニング | 発音・語彙 | |||||
① | ② | ③ | ④ | 日本語 | 英語 | 大問 | 長文内 | |||
2025年 | 説明文 | エッセイ | - | - | ● | ● | ● | ● | ||
2024年 | 説明文 | 物語文 | - | - | ● | ● | ● | ● | ||
2023年 | 説明文 | 物語文 | - | - | ● | ● | ● | ● | ||
2022年 | 説明文 | 物語文 | - | - | ● | ● | ● | ● | ||
2021年 | 説明文 | エッセイ | - | - | ● | ● | ● | ● |
数学

1 小問集合
(1)平方根の計算、(2)連立方程式、(3)因数分解、(4)整数部分と二次方程式の複合問題、(5)データの活用からなる小問集合でした。(5)のデータの活用は新しい傾向の出題でした。途中計算に手間がかかったり、解答が検算しにくい値になったりする問題が含まれており、受験生は不安になったかもしれません。ここで時間を使いすぎないように注意したい大問です。
2 場合の数
袋に球を入れる場合の数の問題でした。2つの小問があり、(2)では(1)を参考に場合分けをする必要がありました。数え漏れが起きやすい設定のため、正答は容易ではなかったと思われます。
3 二次関数
座標平面に二次関数と正三角形を配置した問題でした。座標などを計算しにくい値で解き進める必要がありました。解答までの道筋は立てやすい設定なので、他の大問と比べて得点しやすかったと思われます。
4 円
角の二等分線や二等辺三角形が絡む円の問題でした。入試問題ではよくある設定ですが、解答までの道筋は複数考えられるため、簡潔な計算で済むような手順を見抜くことは難しかったかもしれません。一方で、選んだ手順が多少複雑な計算になったとしても解ききる力があれば、対応可能だったと思われます。
5 球
球と柱体が組み合わさった問題でした。いずれの小問も「適切な面を取り出す」などの立体の基本的な解法手順を踏めば、正解を導けたと思われます。最後の大問ではありますが、時間的にも精神的にも余裕を持ってこの大問に取り組めたかどうかが得点差に現れたでしょう。
年 | 計算問題 | 整数 | 作図 | 証明 | 文章題 | 円 | 平面図形 | 関数 | 二次関数 | 場合の数 | 確率 | データの活用 | 空間図形 | 球 |
2025年 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |||||||
2024年 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ||||||||
2023年 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ||||||||
2022年 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |||||||
2021年 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
国語

1 イ・ヨンスク『「ことば」という幻影』
ことばと人間の意識・身体との関係、母語と外国語の違いなどを論じた文章からの出題でした。渋谷幕張高で過去に出題された論説文に比べれば短めで、内容も読み取りにくさはありません。記号選択は、文章内容が掴めていれば比較的解きやすいもので、失点は避けたいところです。字数制限のない記述では、対比されている2者の違いを、文章全体のテーマをふまえてまとめる必要があり、差がついたものと思われます。そのほか、漢字と語句が出されましたが、標準的な難度でした。
2 志賀直哉『真鶴』
幼い弟を連れて遠出をした少年が抱いた初めての恋心を描いた、大正時代に発表された小説文からの出題でした。舞台が現代とは異なるうえ、登場人物の複雑な心情が描かれているため、読み取りづらさを感じた受験生が多かったと思われます。字数制限のない記述では、文章中に登場する物の象徴的な意味を考えて説明する必要がありました。記号選択の選択肢は長めで、表現の特徴を問うものも含まれ、丁寧な検討が求められます。そのほか、漢字と語句が出されましたが、標準的な難度でした。
3 『春雨物語』
江戸時代の読本からの出題でした。古文としては異例の約4ページにわたる長文で、ストーリーも起伏に富むものでしたが、あらすじや口語訳が多めに付いていたので、大意を読み取るのは難しくありません。ただし、解答の直接の根拠となる部分には口語訳が付いていないことが多く、正解するには自力で訳す力が求められました。3題全体のバランスを考慮すると、大問1を手早く解き、大問3に多めに時間を回す必要があったと言えるでしょう。
年 | 文章1 | 文章2 | 文章3 | 文章4 |
2025年 | イ・ヨンスク『「ことば」という幻影』 | 志賀直哉『真鶴』 | 『春雨物語』 | - |
2024年 | 末木文美士『哲学の現場』 | 岡本かの子『家霊』 | 『太平記』 | - |
2023年 | 藤高和輝の文章 | 宇佐見りん『くるまの娘』 | 『醒睡笑』 | - |
2022年 | 馬渕浩二『連帯論』 | 佐多稲子『水』 | 『徒然草』 | - |
2021年 | 山本雅男『近代文化の終焉』 | 永井龍男『そばやまで』 | 『沙石集』 | - |
理科

1 天体(地学)
太陽系の天体の量的特徴がまとめられた表をもとに、グラフを分析し考察していく問題でした。渋谷幕張高に特徴的な、初見の資料を分析する能力が求められました。過去問演習などで対策した受験生であれば、イメージしていた問題のつくりだったと思われます。易しくはありませんが、取りこぼしは1つ、2つくらいに抑えたい大問です。
2 運動とエネルギー(物理)
発電をテーマに、ブロックを用いてエネルギーを捉えていく問題でした。文字式であっても自由に式を扱えること、単位の意味を正確に把握していること、エネルギーの変換についての理解が十分であることなど、表面的な理解では対応できない内容でした。得点差がついたものと考えられます。
3 遺伝(生物)
八重咲きを題材として、遺伝子のはたらき方を考える問題でした。典型的な遺伝の問題とは異なり、与えられた条件から考察する必要があり、ひらめきに近い感覚的な対応力が求められました。(1)で仕組みが理解できなければ、(2)以降も対応しにくいつくりになっていました。大きな得点差が生じたと考えられます。
4 化学変化(化学)
化学変化と気体・水溶液の性質について、基礎から標準レベルの知識が問われました。十分に対策してきた受験生であれば、時間をかけずにほぼ完璧な解答にたどり着いたと思われます。取りこぼしは避けたい大問です。
年 | 物理分野 | 化学分野 | 生物分野 | 地学分野 |
2025年 | 運動とエネルギー | 化学変化 | 遺伝 | 天体 |
2024年 | 光 | 化学変化 | 遺伝 | 天気 |
2023年 | 磁界 | 化学変化 | 遺伝 | 地質 |
2022年 | 磁界 | イオン | 人体 | 天体 |
2021年 | 光 | 化学変化 | 遺伝 | 地質 |
社会

1 歴史総合
明治時代に日本を旅行したオーストリア=ハンガリー帝国の帝位継承者が残した日記や、中学校の歴史学習で学んだ人々と国や地方の政治との関わりに関する文章を題材とした歴史の総合問題でした。中学教科書外からの出題は減りましたが、教科書本文だけでなく、欄外の解説やコラムにまで目を通していないと正答が難しいものがありました。文章記述は字数制限のある1問を除けば、大問2・3のものとあわせて、すべて行数が指定される問題であり、出題の意図を汲み取り適切な量で記述する必要がありました。
2 公民総合
2024年の出来事についての会話文を題材とした公民の総合問題でした。選挙や最新の時事に関する正しい理解が求められ、単に用語を覚えているだけでは正答することが困難な問題が目立ちました。定番の2つの文の正誤4択問題では1つは比較的容易に正誤を判定できるものの、もう1つで判断に迷うものが多く、得点差がついたことと思われます。
3 地理総合
石油資源や日本への原油輸送路、国内の石油備蓄基地に関する文章や図を題材とした地理の総合問題でした。例年と比べて世界地理、日本地理のどちらかに偏ることなくバランスのとれた出題でした。正誤選択では、2021年以来、3つの文の正誤8択問題が見られました。日頃から教科書や地図を用いた学習を丁寧におこなっていた受験生にとっては取り組みやすいものが多く、渋谷幕張高の過去の入試問題と比較しても標準的な難度でした。
年 | 日本地理 | 世界地理 | 日本史 | 世界史 | 政治 | 経済 |
2025年 | 産業・交通・エネルギー | アジア・北米・資源・交通 | 古代~現代 | 古代~現代 | 人権・選挙・行政 | 財政・金融政策・為替 |
2024年 | 沖縄県・自治体の課題 | アジア・欧米・オセアニア | 古代~現代 | 古代~現代 | 人権・選挙・国会・内閣 | 社会保障・経済成長 |
2023年 | 河川・人口・エネルギー | 河川・人口・宗教・貿易 | 古代~現代 | 古代~現代 | 憲法・選挙・政治改革 | 景気・金融・福祉 |
2022年 | 経緯度・領域 | 図法・時差・気候・地誌 | 古代~現代 | 古代~現代 | 人権・内閣・国連 | 企業・金融 |
2021年 | 中国地方 | 欧米・中国・豪州 | 古代~現代 | 古代~現代 | 憲法・三権・地方自治 | 市場・労働・財政・環境 |