神奈川県公立高校 2025年 教科別入試問題分析
教科別入試問題分析
英語

1 リスニング問題:小問数7
例年通り3部構成で、対話文、スピーチの内容について答える問題です。すべての問題に選択肢が与えられています。
2 語彙:小問数3
与えられた対話文の空欄に適切な語を選んで補う問題です。選択肢の語彙のレベルは高いですが、英文の難度は標準的でした。
3 適語選択:小問数4
大問2と同様の形式です。受検生が苦手とする後置修飾が2問に含まれていて、1問は一般動詞の活用に注意が必要でした。
4 並べかえ英作文:小問数4
対話の流れに合うように、不要な語が1つあることに注意し、語を並べかえ英文を完成させる問題です。2024年と同様、関係代名詞の省略に気づく必要がある問題が1問出されました。
5 条件英作文:小問数1
3枚の絵の内容を表す英文の空欄を埋める問題です。語数や使用する英単語など、指定された条件に合う英文を答える形式です。例年通り、疑問詞を含める必要がありましたが、2025年は間接疑問文が出題されました。
6 説明文の読解(約670語:小問数3)
悩みごとについてのアンケート結果を含む、生徒のスピーチでした。グラフの内容をふまえ、英文中の空欄を埋める選択問題や、内容理解に関する問題が出されました。
7 対話文の読解(約540語:小問数2)
短い対話や図表を読解し、英語で書かれた表やグラフを読み取る問題です。流れに沿った情報の整理が必要です。
8 対話文の読解(約770語:小問数3)
栄養不足の解決策を、生徒と教師が話し合う対話文です。(イ)は少し離れた別の人物のセリフが正答の根拠となるため、差がついたと思われます。
年 | 長文読解 | 記述 | 文法 | リスニング | 発音・語彙 | |||||
① | ② | ③ | ④ | 日本語 | 英語 | 大問 | 長文内 | |||
2025年 | 説明文 | 対話文 | - | - | ● | ● | ● | |||
2024年 | 説明文 | 対話文 | - | - | ● | ● | ● | |||
2023年 | 説明文 | 対話文 | - | - | ● | ● | ● | |||
2022年 | 説明文 | 対話文 | - | - | ● | ● | ● | |||
2021年 | 説明文 | 対話文 | - | - | ● | ● | ● |
数学

1 計算問題
例年通りの選択問題で、正負の数、文字式、平方根などの基本的な計算問題でした。確実に得点を重ねたい大問です。
2 小問集合
因数分解、二次方程式、二次関数の変化の割合、文章題、平方根、回転体の体積の6問構成でした。こちらも大問1と同様に選択問題なので、問題文をしっかり読んでミスなく解答したい大問でした。
3 小問集合
(ア)円と相似、(イ)箱ひげ図、(ウ)文章題、(エ)平面図形の問題でした。(ア)の(ii)は(i)で証明した相似以外にも、多くの角度や線分の長さに着目する必要があり、難度の高い問題でした。(イ)は会話文と箱ひげ図をもとに一人一人の具体的な記録について考察する必要がありました。(ウ)は問われている面積を求めるのに適切な解法が見つけにくく、この大問に時間を取られた受検生が多かったことでしょう。
4 二次関数
二次関数、一次関数、反比例のグラフに関する問題でした。(ア)(イ)は基本問題です。(ウ)の面積比は、どの解法を選んでも複雑な計算が必要な問題でした。
5 確率
さいころの出た目にしたがっておもりを分けていく確率の問題でした。例年通り正確なルールの把握が求められ、様々なパターンを考慮する必要があり、戸惑った受検生もいたことでしょう。
6 空間図形
三角柱の表面積と、内部に引かれた垂線の長さについての問題でした。(イ)は例年の最短距離とは異なる出題ですが、空間図形における典型問題ではあるため、この大問にかける時間がしっかり残せていれば、解答を導くことができたことでしょう。
年 | 計算問題 | 整数 | 作図 | 証明 | 文章題 | 円 | 平面図形 | 関数 | 二次関数 | 場合の数 | 確率 | データの活用 | 空間図形 | 球 |
2025年 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ||||
2024年 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ||||
2023年 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ||||
2022年 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |||||
2021年 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
国語

1 漢字・俳句の鑑賞
例年と同様に、漢字の読み書きは記号選択で難度は標準的でした。俳句の鑑賞では、選択肢の内容から俳句の内容を類推した受検生が多かったのではないかと思われます。
2 砥上裕將『一線の湖』
水墨画家である主人公が、小学生に水墨画の描き方を教える場面を描いた小説文からの出題です。平易な文体で書かれていて読みやすい文章でした。6問の記号選択の中には、一見判断に迷う選択肢を含むものもありましたが、落ち着いてよく読めば確実に正解できる難度であり、堅実に得点したい大問でした。
3 岩内章太郎『〈私〉を取り戻す哲学』
〈私〉という存在の持つ、デザイン可能な面とデザイン不可能な面について述べた論説文からの出題です。内容がやや哲学的で読みにくさを感じた受検生もいたことでしょう。文章内容の理解に関する記号選択が6問あり、いずれも慎重に本文と選択肢の内容を照らし合わせる必要がありました。
4 『太平記』
室町時代に成立した軍記物語からの出題です。注釈がところどころに付けられているので、文章内容に読み取りにくさを感じた受検生は多くなかったと思われます。4問の記号選択も標準的な難度だったので、この大問での失点は避けたいところでした。
5 2つの文章の読み取り
2024年と同様に、複数の文章とそれらについてのメモの内容を読み取る形式で、空欄補充と条件付きの記述が出されました。記述は、条件が付されていることによって何を書けばよいかが分かりやすく、難度は標準的でした。
年 | 文章1 | 文章2 | 文章3 | 文章4 |
2025年 | 砥上裕將『一線の湖』 | 岩内章太郎『〈私〉を取り戻す哲学』 | 『太平記』 | - |
2024年 | 髙森美由紀『藍色ちくちく』 | 井上雅人『ファッションの哲学』 | 『古事談』 | - |
2023年 | 瀧羽麻子『博士の長靴』 | ハナムラチカヒロ『まなざしの革命』 | 『平家物語』 | - |
2022年 | 青谷真未の文章 | 小浜逸郎の文章 | 『十訓抄』 | - |
2021年 | 『今昔物語集』 | 吉川永青『憂き夜に花を』 | 吉見俊哉『知的創造の条件』 | - |
理科

1 小問集合(物理)
(ア)光(イ)電流(ウ)静電気に関する問題でした。(ア)は凸レンズによる光の屈折の問題でしたが、やや見慣れない内容で、十分な理解が求められました。
2 小問集合(化学)
(ア)物質の特徴(イ)イオン(ウ)中和に関する問題でした。典型的な出題ですが、(ウ)はややミスをしやすい問題でした。
3 小問集合(生物)
(ア)顕微鏡(イ)動物の分類(ウ)人体に関する問題でした。いずれも基礎レベルの知識問題ですが、(イ)は条件を整理して考える力が求められました。
4 小問集合(地学)
(ア)天気(イ)惑星(ウ)地球・月・太陽に関する問題でした。(ウ)は問題文をよく読まないとミスするつくりになっているので注意が必要でした。
5 運動(物理)
物体の運動に関する問題でした。実験結果から物体の運動のようすを読み取る力が求められました。理解度によって差がついたことでしょう。
6 化学変化(化学)
化学変化に関する知識問題と計算問題でした。計算問題ではグラフの読み取りや分析も必要でした。
7 生態系(生物)
土の中の微生物のはたらきに関する問題でした。生物分野で頻出の対照実験が2025年も出題され、丁寧な読み取りが求められました。
8 地震(地学)
地震に関する問題です。いずれも典型的で基礎レベルのものであったため、注意深く解き進めてミスは最小限におさえたい問題です。
年 | 物理分野 | 化学分野 | 生物分野 | 地学分野 |
2025年 | 小問集合、運動 | 小問集合、化学変化 | 小問集合、生態系 | 小問集合、地震 |
2024年 | 小問集合、磁界、音 | 小問集合、イオン | 小問集合、遺伝 | 小問集合、天気 |
2023年 | 小問集合、電流、運動とエネルギー | 小問集合、化学変化 | 小問集合、植物 | 小問集合、地質 |
2022年 | 小問集合、光 | 小問集合、イオン | 小問集合、人体 | 小問集合、天体 |
2021年 | 小問集合、運動 | 小問集合、溶解度 | 小問集合、遺伝 | 小問集合、天気 |
社会

1 世界地理
大西洋に面した地域を題材とした問題でした。経緯度・気候・貿易・時差など、それぞれの分野の基礎的な内容の問題がみられました。
2 日本地理
宮城県仙台市を題材とした問題でした。基礎的な問題が中心でしたが、多様な表・グラフ・地図を的確に読み取る必要がありました。
3 日本史(古代~近世)
古代から近世の日中関係を題材とした問題でした。下線部の内容や問題文の意図を正確に把握して解答することが求められました。
4 歴史総合(近代~現代)
近現代の日本の歌・音楽を題材とした問題でした。多くの問題で出来事の時代や年代を正確に把握しているかどうかがポイントとなりました。
5 経済
新紙幣発行を題材とした問題でした。他の都道府県公立校の入試問題でも頻出のものがほとんどでしたが、範囲が広く、経済分野の各単元がまんべんなく理解できていることが重要でした。
6 政治
広島での主要国首脳会議を題材とした問題でした。政治分野からの出題でしたが、一部に歴史的な背景を理解していることが求められるものもありました。
7 三分野総合
西アジアを題材とした地理・歴史・公民分野の総合問題でした。各分野を横断して多数の資料が使用されていたため、それぞれの資料のポイントを把握し、分析して解く必要がありました。
年 | 日本地理 | 世界地理 | 日本史 | 世界史 | 政治 | 経済 |
2025年 | 気候・地形図・産業 | 経緯度・気候・貿易 | 古代~現代 | 近現代~現代 | 内閣・人権・国際社会 | 消費・企業・金融 |
2024年 | 地形図・地形・人口 | 経緯度・気候・地誌 | 古代~現代 | 古代~現代 | 三権・人権・国際社会 | 社会保障・為替・金融 |
2023年 | 地形図・人口 | 経緯度・気候 | 古代~現代 | 中世~現代 | 三権・人権 | 労働・社会保障 |
2022年 | 産業・地形図 | 地図・気候・産業 | 古代~現代 | 近代~現代 | 基本的人権・憲法 | 企業・財政 |
2021年 | 地形図・地形 | 宗教・地誌 | 古代~現代 | 近代 | 地方自治・基本的人権 | 財政・市場 |