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早稲田大学本庄高等学院 2025年 教科別入試問題分析

教科別入試問題分析

英語

Ⅰ 適語句選択:小問数10

英文の空所に入る最も適切なものを選び、記号で答えるという、例年通りの形式です。高校範囲を含む知識の有無を問う出題がほとんどですが、日本語表現と英語表現とのギャップを問う[2]や、類似表現や同意表現の正確な区別が必要となる[4]や[6]など、知識量のみならず蓄積してきた知識の質を求めるような出題もあります。

Ⅱ 説明文の読解(約610語):小問数20

アフリカにおけるチョウの養殖と、その発達によってもたらされる意外な恩恵についての説明文です。語数・小問数ともに2024年よりも減少し、日本語記述も出題されませんでしたが、内容把握に関する問題における選択肢が緻密に作り込まれ、解答に精査が必要であるため、難度は例年と同等に高いと言えます。早大本庄学院に特徴的な形式である本文中の日本語を英語に直す問3[7]では、中学校で学習する文法範囲外の実用的表現が出題されましたが、ここで立ち止まらずに他の問題で確実に点を取ることが重要だったと思われます。

Ⅲ 対話文の読解(約480語):小問数13

留守中のペットの世話を隣人に依頼する場面を描いた対話文です。こちらも2024年と比較するとボリュームこそ減りましたが、大問Ⅱと同じく答えを一つに絞るのが難しい選択問題が複数ありました。中でも、熟語の単純な暗記では対応できない問1(3)や、世話を依頼されている人物の心情の変化を正確に把握する必要がある問1(5)などで苦戦を強いられた受験生は多かったことでしょう。問8では、早大本庄学院の英文記述においてもう一つの特徴的な形式である、流れに合った英文を登場人物の立場から考えて記述する英作文が今年も出題され、やはり単純な知識量に加えてそれらを実際に運用する力も同様に求められていることが分かります。

長文読解 記述 文法 リスニング 発音・語彙
日本語 英語 大問 長文内
2025年 説明文 対話文
2024年 説明文 対話文
2023年 説明文 対話文
2022年 エッセイ 対話文
2021年 説明文 対話文

数学

1 小問集合

問1は因数分解、問2は等式変形、問3は正三角形と円の重なりの求積、問4は不定方程式の4問構成でした。問1は取り組みやすいものの、問2は類題演習の経験の有無によって差がついたと思われます。問3、問4は、与えられた条件をもとに調べていく作業量が多く、想定以上に時間をかけてしまった受験生もいたことでしょう。

2 確率

座標平面上において、さいころの出た目によって座標が決定する3点について考察する問題でした。問1の条件がそれ以降の小問でも成り立つので、何とか問1は正解しておきたいところです。問2以降はさまざまな解法が考えられますが、いずれにせよ手間がかかるため、自信を持って解答することは難しかったと思われます。

3 二次関数

y軸を境にして定義される2種類の放物線に関する問題でした。問1は基本問題ですので、定義域に注意しつつ確実に正解したいところです。問2、問3は状況を把握し、適切に文字置きをしてから立式をしなければならず、スピーディーな判断力と計算処理が求められました。

4 空間図形

立方体に内接する球を1つの平面で切断する問題でした。すべての小問において、適切な平面を抜き出せるかが重要なポイントです。問3はそれに加え、高い計算力も必要だったため、時間内に完答するのは難しかったと言えます。

計算問題 整数 作図 証明 文章題 平面図形 関数 二次関数 場合の数 確率 データの活用 空間図形
2025年
2024年
2023年
2022年
2021年

国語

1 上垣外憲一『富士山』

海外で新聞記者・文筆家として活動し、その後日本に移り住んだラフカディオ・ハーンが、日本人の精神性をもとに、西洋と日本の文化や価値観の違いについて述べた内容をまとめた論説文からの出題です。抽象的な言い回しや引用が多く、読みにくさがありましたが、日本と西洋の対比構造が明確で内容把握はしやすかったと思われます。例年通り記号選択と抜き出しが多く、読解中心の設問構成でしたが、文中での根拠が明確だったため得点につなげやすいものでした。制限字数25字以内の記述について、解答の根拠は明確でしたが、例年よりも少ない制限字数内にまとめるのに苦労したと思われます。漢字の読み取りはほとんどが標準的な難度のものが出されました。

2 松浦理英子『風鈴』

ある集落に住む「わたし」と年が近い幼なじみであるワタル、一時的に集落に滞在しているミヤビの関係性を描いた小説文からの出題です。話の展開はテンポよく描かれていたため、内容把握はしやすかったと思われます。大問1と同様、記号選択と抜き出しが中心で、中には判断に迷うものもあり、細部の理解ができていないと得点には結びつきません。制限字数20字以内の記述については、根拠となる箇所を見つけることができれば、短時間で処理することも可能な問題でした。知識分野からは漢字の書き取りと慣用句が出され、漢字についてはいずれも標準的な難度だったため確実に正解したいところでしたが、慣用句については、確実に正解するためには正確な語句の知識が求められました。大問1・2ともに設問数が少なく、正確性がとても大切だったと言えるでしょう。

文章1 文章2 文章3 文章4
2025年 上垣外憲一『富士山』 松浦理英子『風鈴』
2024年 大澤真幸の文章 松浦寿輝『巴』
2023年 柄谷行人『漠たる哀愁』 舞城王太郎『クローゼットの中』
2022年 吉野源三郎『人間を信じる』 井上靖『姨捨』
2021年 萱野稔人の文章 ツェワン・ナムジャ『ごみ』