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早稲田大学高等学院 2025年 教科別入試問題分析

教科別入試問題分析

英語

A エッセイの読解(約820語):小問数19

子どもの頃のおもちゃ屋での思い出に関するエッセイです。筆者の心情の変化やその理由を正確に把握する読解力、またその内容を書きかえる知識が求められました。従来、早大学院では問題形式ごとにまとめられて出題されていましたが、2025年では本文中の流れ通りに出題されています。そうした変更はありましたが、本文中の表現を書きかえる空所補充や整序英作文など、問題形式に変化はありません。ただ、例年出されていた発音問題や内容一致問題は出されませんでした。また、例年との大きな違いとして2021年から続いていた文法問題のみの大問が出題されませんでした。

B 説明文の読解(約430語):小問数17

デジタルデトックスに関する説明文です。デジタル機器とどのように距離をとるかについて、いくつかの具体例が示されています。2021年から連続で、本文に関連する問いに対し自分の考えを述べる条件英作文が出題されています。近年1問のみでしたが2025年は与えられた英文の空所を簡潔に補う形で3問出され、正確に速く英文を書く必要がありました。また、本文の内容や要点を別の表現に書きかえる問題が多く出されました。内容について記号を選択するだけでなく同意の単語や表現をアウトプットする力が求められました。

C エッセイの読解(約740語):小問数15

日本にやって来た外国人の筆者が東京での食文化について気づいた点を独自の視線で描いたエッセイです。長文が3題になった2022年以降、後半2つの長文問題は条件英作文を除きほぼ全て4択の選択問題で構成されていましたが、2025年は空所補充問題や、本文から派生した会話文に適語を補う問題など、様々な形式の問題が出されました。また、後半の長文問題の小問数は2024年から2倍近くになっているため時間配分に注意する必要がありました。

長文読解 記述 文法 リスニング 発音・語彙
日本語 英語 大問 長文内
2025年 エッセイ 説明文 エッセイ        
2024年 説明文 物語文 物語文    
2023年 エッセイ 物語文 説明文      
2022年 説明文 エッセイ 物語文    
2021年 エッセイ エッセイ    

数学

1 小問集合

(1)は式の値、(2)は正三角形の辺上の点を結んでできる角と線分、(3)は二次方程式についての問題でした。(1)は計算量は多いですが、丁寧に取り組みたいところです。(2)は特別角を活用することで、手早く正解にたどりつきたい問題でした。(3)は早大学院の受験生であれば、類題を解いた経験があると思います。適切な解法を選択できたかどうかで差がついたことでしょう。

2 場合の数

5種類の文字をルールに従って枠の中に当てはめる問題でした。いずれの小問も状況を把握し、丁寧に調べ上げることが求められました。(4)は(2)(3)での考え方を利用し、適切な場合分けをすることができたかどうかがポイントでした。

3 二次関数

放物線上に頂点を持つ正六角形についての問題でした。図が問題に与えられていないので、正確に図示し、問題に取り組みたいところです。(1)は基本的な内容なので、確実に正解したい問題でした。(2)は①②③の3問構成となっていて、いずれも問われている内容自体は典型的なものばかりでした。ただ、②③では解答に多項式が含まれていたため、答えに自信を持てなかった受験生は多かったと思われます。

4 平面図形

正方形と同じ平面上に点Pをとり、正方形の頂点と結んだときの三角形の面積の和について考察する問題でした。大問3と同様に、図が与えられていませんでしたが、(3)までは状況をしっかり図示することで、正解にたどりつきたいところです。(4)は(3)が解く際のヒントではありましたが、それに気づき、完答できた受験生は多くなかったと思われます。

計算問題 整数 作図 証明 文章題 平面図形 関数 二次関数 場合の数 確率 データの活用 空間図形
2025年                  
2024年                  
2023年                    
2022年                    
2021年                

国語

1 戸谷洋志『生きることは頼ること』

2025年はすべての大問を通して抜き出しが13問出され、ここ5年の中では2022年に次ぐ多さでした。また、あらかじめ与えられた文の空欄に当てはまるように指定字数ちょうどで抜き出すものがほとんどで、答えを探すのに時間がかかり、苦戦した受験生も多かったと思われます。大問1は「自己責任」という言葉が用いられるときの社会的、心理的な背景について述べた論説文からの出題で、抜き出しは7問でした。記号選択は4問出され、例年と同様に不適切なものを答えるものと空欄補充形式で語句を答えるものが出されました。

2 岡山敬二『わからなさを生きる哲学』

「人間の身体のありよう」について述べた論説文からの出題です。身近にある身体の意外な側面というテーマは入試現代文でよく目にするので、対策をしてきた受験生にとっては理解しやすいものでした。字数ちょうどの抜き出しは4問、不適切なものを答える記号選択は1問出されました。また、2023年まで4年連続で出されていた四字熟語の空欄補充が2年ぶりに出されましたが、基礎的な難度のものだったので手堅く得点につなげたいところでした。

3 『世継物語』

平安時代の歴史物語からの出題です。古文では頻出の「夢」に関する文章でしたが、物語後半の展開を正しくとらえられたかどうかで点差がつきやすい大問でした。辞書通りの訳だけでなく、文脈をふまえた内容把握が必要でした。頻出の古文単語の意味と動作の主語を問うものが3問ずつ出されましたが、敬語表現などの古文の基礎知識の対策をしてきた受験生には有利だったと言えます。

文章1 文章2 文章3 文章4
2025年 戸谷洋志『生きることは頼ること』 岡山敬二『わからなさを生きる哲学』 『世継物語』
2024年 谷川嘉浩『スマホ時代の哲学』 池田賢市『学校で育むアナキズム』 『撰集抄』
2023年 鈴木宣弘『食の戦争』 福田育弘『ともに食べるということ』 『花月草紙』
2022年 苅谷剛彦『コロナ後の教育へ』 佐藤弘夫『日本人と神』 『今物語』
2021年 岡本亮輔『聖地巡礼』 内田樹『街場の共同体論』 『枕草子』