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東京都立日比谷高校 2025年 教科別入試問題分析

教科別入試問題分析

英語

1 リスニング問題:小問数5

問題Aと問題Bの二部構成です。問題Aは設問ごとの対話文と質問を聞いて、与えられた選択肢から答えを選ぶ形式が3つあります。問題Bはある商業施設の館内放送と質問を聞いて適切な答えを選ぶ問題と、英語で答えを記述する問題が1つずつあります。

2 対話文の読解(約1190語):小問数10

3人の高校生と先生による、ハチの生態についての対話文です。問3は本文中の空所に、話の流れに合う内容を考え10~15語の英語で記述する問題で、都立日比谷高では頻出の形式です。問4はハチの巣の構造を参考にした図を選ぶ問題で、本文に書かれている内容を正しく読み取る必要がありました。

3 説明文の読解(約1170語):小問数7

素材としての「ガラス」の歴史や利点、用途などについて述べられた説明文です。約5000年の歴史の中で、時代ごとに形状や用途がどう進化しているのかを読み取る必要があります。問2は下線部の内容を指すポイント2つを含めて30~40語の英語を作文する問題で、本文全体を見渡して要約するようなアプローチが求められました。問4は範囲内の話のまとまりをよくするために、5つの英文の中から1文を取り除く形式で、2023年から連続して出題されています。

4 自由英作文:小問数1

3コマのイラストに描かれた場面を説明し、その状況について自分の考えを含めて50語程度の英語で書く問題です。父と娘の自宅での様子が描かれており、コマごとのそれぞれの人物の状況、および顔の表情からうかがえる心情などを読み取って作文する必要があり、都立スピーキングテストで出題される形式に近いものでした。入試全体として合計100語前後の英作文が課され、高い記述力とスピードが求められました。

長文読解 記述 文法 リスニング 発音・語彙
日本語 英語 大問 長文内
2025年 対話文 説明文      
2024年 対話文 説明文      
2023年 対話文 説明文      
2022年 対話文 物語文      
2021年 対話文 説明文      

数学

1 小問集合

平方根の計算、数式の計算、さいころの確率、反比例のグラフと格子点、作図の5問構成でした。2024年に初めて出題されたデータの活用はなく、2023年以前の出題傾向に戻りました。〔問3〕の確率は丁寧さが求められますが、いずれもミスなく完答を目指したいところです。

2 二次関数

放物線と直線に関する、〔問1〕(1)三角形の求積、(2)点の座標、〔問2〕最短距離の問題でした。各小問においてそれぞれ状況が異なるものの、都立日比谷高の受検生であれば類題の演習経験があったことでしょう。計算量も多くなく、確実に正解を導きたい大問です。

3

〔問1〕は三角形の求積、〔問2〕(1)は相似の証明、(2)は線分の長さについての出題でした。〔問1〕は基本問題です。〔問2〕(1)の証明は、シンプルな構図ではあるものの、角度が等しくなることを示すのに戸惑った受検生もいたことと思われます。〔問2〕(2)は(1)の結論を利用することができたかどうかが鍵だったでしょう。

4 空間図形

球と円柱に関して、入っている水の量について考察する問題でした。2024年に続いて、問題の会話文を落ち着いて読み進めていく必要がありましたが、しっかりと図を自分でかいて考えることができれば、難度は標準的であったと言えます。全体的な時間配分も考慮して取り組みたい大問でした。

計算問題 整数 作図 証明 文章題 平面図形 関数 二次関数 場合の数 確率 データの活用 空間図形
2025年          
2024年            
2023年              
2022年              
2021年              

国語

1 漢字の読み取り

例年同様、漢字の読み取りが計5問出されました。受検生にはなじみの薄い語句が多く、難度は高めだったと言えるでしょう。

2 漢字の書き取り

例年通り、高難度の語句を含む計5問が出されました。2024年に引き続き、三字熟語の知識も問われています。

3 砥上裕將『一線の湖』

水墨画の境地に踏み込んだ主人公の姿を描いた小説文からの出題でした。感覚的な表現が多くやや読みにくい部分はあるものの、大意を掴むことは難しくありません。記号選択5問は、いずれも傍線部周辺の正確な読み取りができていれば対応できる内容でした。制限字数80字の記述では、自分の言葉を交えて説明する必要があり、差がついたものと考えられます。

4 山崎正和『柔らかい個人主義の誕生』

社会とそれを構成する個人の関係性について述べた論説文からの出題でした。抽象度が極めて高く、読み取りには相応の時間がかかります。読解問題は計5つで、すべて記号選択形式でした。一部にまぎらわしい選択肢が含まれているため、文章内容の丁寧な読解が求められました。例年通り、制限字数250字以内の課題作文も出されています。

5 白洲正子『西行』

西行法師が詠んださまざまな和歌について述べた文章からの出題でした。和歌が複数引用されていますが、直後の現代語訳や筆者による解釈を理解できれば、内容把握で苦戦せずに済んだと思われます。例年通り記号選択を中心とした設問構成で、2024年に引き続いて抜き出しも1問出されています。

文章1 文章2 文章3 文章4
2025年 砥上裕將『一線の湖』 山崎正和『柔らかい個人主義の誕生』 白洲正子『西行』
2024年 河﨑秋子『温む骨』 大塚淳の文章 中西進『万葉のことばと四季』
2023年 山本兼一『花鳥の夢』 若林幹夫『地図の想像力』 尼ヶ崎彬『花鳥の使』
2022年 朝井リョウ『スター』 村上陽一郎『文明の死/文化の再生』 森本哲郎『月は東に』
2021年 あさのあつこ『アスリーツ』 更科功の文章 篠田治美『和歌と日本語』