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東京都立西高校 2025年 教科別入試問題分析

教科別入試問題分析

英語

1 リスニング問題:小問数5

問題Aと問題Bの二部構成です。問題Aは設問ごとの対話文と質問を聞いて、与えられた選択肢から答えを選ぶ形式が3つあります。問題Bはある商業施設の館内放送と質問を聞いて適切な答えを選ぶ問題と、英語で答えを記述する問題が1つずつあります。

2 対話文の読解(約1200語):小問数12

海水の酸性化をはじめとする、海の環境問題についての対話文です。都立西高の対話文は流れを正確に読み取ることに加え、対話全体の内容をまとめる必要もあるのが特徴で、2025年は要約文中の空所補充である問4でその力が求められています。品詞の理解をもとにどのような単語を入れるべきかを判断したうえで、その語形にまで気を配る必要があります。

3 説明文の読解(約890語):小問数9

アリなどの動物間におけるコミュニケーション方法についての説明文です。問8のように、本文で扱われたテーマに関連する自由英作文が毎年出題されますが、近年はそこで求められる具体例を挙げるのに苦労する出題が多いため、身の周りのものごとに日頃から関心を持っておくことが重要です。自由英作文では無解答の受検生が例年5割前後いるため、ここで得点できるかどうかは大きな差になります。

4 説明文の読解(約990語):小問数8

トルコにあるボスポラス海峡周辺の交通網に関する説明文です。文法、知識、文脈把握、表現力など、都立西高ではさまざまな角度から英語の理解度を測る出題がありますが、2025年は問4において本文中で説明された海底トンネルの構造を視覚化できるかどうかが問われています。また、本文の内容に一致した選択肢の組み合わせを答える問7のように、解答に時間を要する出題も特徴的で、過去の入試問題による時間配分を意識した演習は必須です。

長文読解 記述 文法 リスニング 発音・語彙
日本語 英語 大問 長文内
2025年 対話文 説明文 説明文      
2024年 対話文 説明文 説明文      
2023年 対話文 説明文 説明文      
2022年 対話文 説明文 説明文      
2021年 対話文 説明文 説明文      

数学

1 小問集合

平方根の計算、二次方程式、確率、データの活用、作図の5問からなる小問集合で、2022年から4年連続で同じ構成での出題でした。いずれも標準的な問題で、完答を目指したい大問です。

2 二次関数

〔問1〕は交点と直線、〔問2〕は2直線のなす角、〔問3〕は放物線と円に関する問題でした。〔問3〕は文字を含むやや複雑な計算を要する問題でしたが、類題経験のあった受検生にとっては難しくなかったと思われます。

3

円と三角形に関する問題でした。〔問1〕は線分の長さを求める問題、〔問2〕は三角形の合同を証明する問題でした。どちらも基本問題で、ここまでは確実に正解したいところです。〔問3〕は図形の面積比に関する問題で決して難度は高くありませんが、線分の比が文字で与えられていたため、戸惑った受検生も少なくなかったと思われます。

4 文章題

いくつかの連続する奇数の和についての問題でした。〔問1〕は具体的な数値を用いてルールを確認する問題で、確実に正解したいところです。〔問2〕は文字を利用して式を立てる必要はありますが、方針が立てやすいため、しっかりと得点しておきたい問題でした。〔問3〕は問題文を丁寧に読むことができれば悩むことなく取り組めたと思われます。この大問に時間をかけることができたかどうかで得点差がついたことでしょう。

計算問題 整数 作図 証明 文章題 平面図形 関数 二次関数 場合の数 確率 データの活用 空間図形
2025年          
2024年        
2023年            
2022年          
2021年            

国語

1 漢字の読み取り

三字熟語を1問を含む4問が出されました。受検生になじみの薄い語句が複数出されています。

2 漢字の書き取り

四字熟語1問を含む4問が出されました。文脈から意味を推測しづらい難度の高いものが中心です。

3 砥上裕將『一線の湖』

大学生である主人公が小学生に水墨画を教える様子を描いた小説文からの出題です。平易な言葉で書かれた文章であったため、内容の理解はしやすかったと言えます。制限字数70字の記述は、傍線部付近を精読することで対応することができるものでした。記号選択5問の中には、まぎらわしい選択肢を含むものもあり、文章の内容をしっかりと把握したうえで解答する必要がありました。

4 朝倉友海『ことばと世界が変わるとき』

客観性とは何かを「単層的」や「承認」といった語句を用いて述べた論説文からの出題です。文章の抽象度が高く、読みづらさを感じた受検生が多かったと思われます。記号選択6問は、傍線部の解釈に関するものが中心で、いずれも文章内容の正確な理解が求められました。また、例年通り制限字数200字以内の作文も出されました。

5 田渕句美子『百人一首 編纂がひらく小宇宙』

百人一首に収録された和歌の配列の意図について説明した文章からの出題です。多くの和歌が紹介されているものの、一首ずつ詳しく解説が書かれているため、内容の理解はしやすかったと言えます。記号選択4問に加えて、抜き出しが1問出されましたが、字数が指定されているうえ、根拠とすべき箇所が限定されていたため、なるべく失点は避けたいところです。

文章1 文章2 文章3 文章4
2025年 砥上裕將『一線の湖』 朝倉友海『ことばと世界が変わるとき』 田渕句美子『百人一首』
2024年 上野歩『お菓子の船』 松村圭一郎『旋回する人類学』 揖斐高『江戸漢詩の情景』
2023年 碧野圭『凜として弓を引く』 千葉眞の文章 縄田雄二『モノと媒体の人文学』
2022年 鈴村ふみ『櫓太鼓がきこえる』 佐倉統『科学とは何か』 松原朗『漢詩の流儀』
2021年 谷津矢車『廉太郎ノオト』 吉見俊哉『知的創造の条件』 多田一臣『「万葉集」の言葉の世界』