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東京都立国立高校 2025年 教科別入試問題分析

教科別入試問題分析

英語

1 リスニング問題:小問数5

問題Aと問題Bの二部構成です。問題Aは設問ごとの対話文と質問を聞いて、与えられた選択肢から答えを選ぶ形式が3つあります。問題Bはある商業施設の館内放送と質問を聞いて適切な答えを選ぶ問題と、英語で答えを記述する問題が1つずつあります。

2 対話文の読解(約1350語):小問数10

「効果的な学習法」に関する生徒と先生の対話文です。対話の内容は多岐にわたり、「産出効果」や「立ち会議」といった話題も扱われています。また、問3では脳の活動領域を表すイラストを選択する問題も出されていました。問5は都立国立高で頻出の抜き出し問題で、下線部の単語の意味と問題の意図を見抜く力が試された問題でした。大きな変化としては問10の内容一致問題の出題形式が2024年と異なり、正解と誤答を含む選択肢が複数提示され、その中から正しい組み合わせを1つ選ぶ形式に変わっています。この形式は他の進学指導重点校などでも見られるもので、解答を吟味するのに時間がかかるため注意が必要です。

3 物語文の読解(約1400語):小問数9

中学時代、ハワイに短期留学をした際に言葉の壁にぶつかった少年が、ホストファミリーの力を借りて自信を取り戻す物語文です。2024年同様、2025年も問5、問8で英文記述が出されており、20語から30語で記述する問題でした。どちらも本文の内容を理解する読解力と本文の表現を置きかえる表現力が試されています。問6は本文の内容と照らし合わせて適切でないものを選ぶ問題でしたが、本文の内容を正確に捉え、問題文の意図を読み取ればそれほど難しくなかったと思われます。長文の単語数は全体的に2024年より増加しましたが、問題数も減り、解きやすい問題が多かったと思われます。

長文読解 記述 文法 リスニング 発音・語彙
日本語 英語 大問 長文内
2025年 対話文 物語文      
2024年 対話文 物語文      
2023年 対話文 物語文      
2022年 対話文 物語文    
2021年 対話文 物語文      

数学

1 小問集合

平方根の計算、連立方程式、データの活用、確率、作図の5問からなる小問集合でした。〔問4〕は円との融合問題で、条件を満たす組合せを手早く書き出して、確実に正解したいところです。〔問5〕は解法が浮かびにくいと感じた受検生も多かったことでしょう。

2 二次関数

放物線と直線に関する問題でした。〔問1〕は二次関数の変域、〔問2〕はx軸に対称な直線の式で、いずれも関数の基本問題です。〔問3〕は座標平面上の図形の面積に関する問題で、シンプルな設定でした。計算ミスに注意しながら、手早く完答したいところです。

3 平面図形

正方形と2つの正三角形を組み合わせてできる平面図形に関する問題でした。〔問1〕は角度を求める問題、〔問2〕(1)は三角形の合同の証明問題で、いずれも難度は高くはありませんでした。〔問2〕(2)は図形内にできる三角形の面積についての問題で、前小問までの流れを上手く利用できれば正解できたと思われます。

4 空間図形

立方体の頂点につながれたひもの先端の点が動く範囲についての問題でした。〔問1〕(1)は長さの最大値を求める問題で、最大であることに確信が持てなかった受検生もいたことでしょう。〔問1〕(2)と〔問2〕は点が動く範囲の体積および面積を求める問題で、特に〔問2〕は求める図形が把握できたとしても、解法を導き出すのは容易ではなかったと思われます。

計算問題 整数 作図 証明 文章題 平面図形 関数 二次関数 場合の数 確率 データの活用 空間図形
2025年            
2024年          
2023年              
2022年              
2021年            

国語

1 漢字の読み取り

例年通り、中学生にはなじみの薄い語句が複数出されました。それ以外の標準的な難度のものを得点につなげられたかどうかがポイントでした。

2 漢字の書き取り

大問1同様に中学生にはなじみの薄い語句が複数出されています。意味を考えると思いつきやすいものもあるため、日頃から語句の意味を含めて身につけておくことが必要です。

3 青山美智子『リカバリー・カバヒコ』

小学生の「ぼく」が友人や整体院の先生との会話を通して成長していく姿を描いた小説文からの出題でした。文章では会話文が多用されていて、読解に難しさはありません。例年通り記述は出されず、抜き出し3問と記号選択4問という構成でした。記号選択にはまぎらわしい選択肢のものも含まれていたため、選択肢を丁寧に比較・検討する必要がありました。

4 戸谷洋志『SNSの哲学』

SNSを支配するアルゴリズムについて述べられた論説文からの出題でした。受検生にとってなじみのないテーマで、読解に時間がかかります。抜き出し2問と記号選択5問で、うち1問は生徒のレポートを読んで答えを選ぶという形式でした。加えて、例年通り200字以内の作文も出されていたため、時間配分に注意が必要でした。

5 川本皓嗣『俳諧の詩学』

短詩としての俳句の特徴について考察した文章からの出題でした。一部古文や俳句の引用は見られるものの現代語訳が付いているため、丁寧な読解が求められています。設問は記号選択のみで、手堅く得点につなげておきたい難度でした。

文章1 文章2 文章3 文章4
2025年 青山美智子『リカバリ-・カバヒコ』 戸谷洋志『SNSの哲学』 川本皓嗣『俳諧の詩学』
2024年 川端裕人『てのひらの中の宇宙』 河野哲也の文章 久保田淳『藤原俊成』
2023年 瀧羽麻子『博士の長靴』 外山滋比古『日本語の論理』 大岡信『私の古典詩選』
2022年 武田綾乃『君と漕ぐ4』 品川哲彦『倫理学入門』 山口謡司『〈ひらがな〉の誕生』
2021年 和泉実希『空までとどけ』 宇野常寛『遅いインターネット』 高橋英夫『西行』