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東京都立戸山高校 2025年 教科別入試問題分析

教科別入試問題分析

英語

1 リスニング問題:小問数5

問題Aと問題Bの二部構成です。問題Aは設問ごとの対話文と質問を聞いて、与えられた選択肢から答えを選ぶ形式が3つあります。問題Bはある商業施設の館内放送と質問を聞いて適切な答えを選ぶ問題と、英語で答えを記述する問題が1つずつあります。

2 対話文の読解(約1170語):小問数14

鏡の歴史と進化に関する対話文でした。問1、問2のように設問近くの登場人物の発言を根拠に解ける問題もありましたが、問3では2種類の鏡の違いを文脈からイメージできるかが問われ、やや難問でした。問6の並べかえ英作文は文法の知識だけではなく、本文を要約する力も求められ差がついたと思われます。また、問4は都立戸山高では近年出題されなかった抜き出し問題でした。鏡と光の関係を正確に把握することが必要で、難度の高い問題だと言えます。

3 説明文の読解(約1230語):小問数9

植物が子孫を残すために行う様々な「種子散布」の方法に関する説明文でした。都立戸山高の特徴である絵図資料を用いた問題、4つの文の並べかえ問題が2025年も出されています。この4つの文を並べかえる問題は、文意から正しい順番を想定することが容易ではなく、冠詞や形容詞に着目することで正答に近づけるものでした。問題全体を通して、内容理解に関する問題が多く出されました。問8は、本文で扱われたテーマを除き、自然界で興味深いと思うことを40~50語程度の英文で答えるもので、都立戸山高の理数系へのこだわりが感じられます。

長文読解 記述 文法 リスニング 発音・語彙
日本語 英語 大問 長文内
2025年 対話文 説明文      
2024年 対話文 説明文      
2023年 対話文 説明文      
2022年 対話文 説明文      
2021年 対話文 説明文      

数学

1 小問集合

式の値、二次方程式、連立方程式、確率、作図の5問からなる小問集合でした。例年通りの出題で、いずれも基本的な内容でした。ミスをしないように注意し、完答を目指したい大問です。

2 二次関数

二次関数と反比例のグラフに関する問題でした。〔問1〕は基本的な問題で、確実に正解したいところです。〔問2〕(1)(2)は、問題文で示された設定がやや複雑で、条件を正確に把握するのに時間がかかったかもしれません。問われている内容は標準的なものでしたので、状況を丁寧に整理して、得点を積み重ねたいところです。

3

円周上の点を結んだ線分を延長してできる図形について考察する問題でした。〔問1〕(1)(2)は図形が一意に定まりませんが、与えられた条件を満たす図を描くことができれば、その後の方針は立てやすかったものと思われます。〔問2〕の証明も同様でしたので、自分で図を描けたかどうかで差がついた大問でした。

4 空間図形

立体と動点に関する出題で、このテーマが都立戸山高で出題されるのは2025年で7年連続となりました。2025年は三角柱の辺上を移動する点についての問題でした。〔問1〕は解法によって計算量が変わり、悩んだ受検生もいたことでしょう。〔問2〕や〔問3〕のほうが取り組みやすかったため、解く順番を前後させるとより確実に得点できたものと思われます。

計算問題 整数 作図 証明 文章題 平面図形 関数 二次関数 場合の数 確率 データの活用 空間図形
2025年              
2024年              
2023年              
2022年              
2021年              

国語

1 漢字の読み取り

例年通り、読み取りが5問出されました。難度は高めで、受検生の語彙の豊富さが試されました。

2 漢字の書き取り

四字熟語を含む5問が出されましたが、この大問でもかなり難度の高い語句が含まれています。標準的なレベルのものは確実に得点しておきましょう。

3 上林曉『孤独先生』

田舎の中学校に30年あまり勤める「先生」と、彼の風格や人間味を慕う生徒たちの姿を描いた小説文です。設問は記号選択が中心でしたが、ほかの大問に比べてまぎらわしい選択肢は少ないため、なるべく取りこぼしを避けたいところです。60字以上80字以内の記述では、傍線部周辺の表現に着目し、要点を見極めて解答する必要がありました。

4 朝倉友海『ことばと世界が変わるとき』

理想が生きる意味を導くということについて論じた文章です。記号選択4問はまぎらわしい選択肢を含みますが、筆者の主張を丁寧に読み取ることで対応できます。65字以上80字以内の記述については、書くべきポイントを意識せずに漫然と書くだけでは得点に結びつきません。例年通り制限字数200字の作文も出されているため、総じて時間を要する大問だったと言えます。

5 渡邉裕美子『歌が権力の象徴になるとき』

障子絵を見て詠まれた和歌や漢詩について述べた文章です。設問はすべて記号選択形式で選択肢にまぎらわしいものも含まれるため、文章の概要を掴むだけではなく、細部まで正確に読み取ることが求められました。適切な和歌を1つ選ぶという問題が出されていますが、こちらも傍線部周辺を精読できているかどうかが試された設問だったと言えます。

文章1 文章2 文章3 文章4
2025年 上林曉『孤独先生』 朝倉友海『ことばと世界が変わるとき』 渡邉裕美子の文章
2024年 宮本百合子『雨と子供』 濱良祐『曲がり角の向こう』 渡辺秀夫『かぐや姫と浦島』
2023年 滝口悠生『長い一日』 寺田寅彦『万華鏡』 上野洋三『芭蕉の表現』
2022年 中勘助『夏目先生と私』 桑子敏雄『環境の哲学』 高橋睦郎『読みなおし日本文学史』
2021年 山川方夫『煙突』 松岡正剛『日本文化の核心』 山本淳子『紫式部ひとり語り』