特集コンテンツ

東京都立青山高校 2025年 教科別入試問題分析

教科別入試問題分析

英語

1 リスニング問題:小問数5

問題Aと問題Bの二部構成です。問題Aは設問ごとの対話文と質問を聞いて、与えられた選択肢から答えを選ぶ形式が3つあります。問題Bはある商業施設の館内放送と質問を聞いて適切な答えを選ぶ問題と、英語で答えを記述する問題が1つずつあります。

2 対話文の読解(約1280語):小問数9

中学生がプレゼンテーションのテーマとして集団学習と個人学習の利点について論じ合う対話文でした。問1と問3の並べかえ英作文、問4の空所補充は基本的な文法知識が求められていました。問7、問8は内容一致問題でしたが、本文が3ページにわたるため、正解の根拠となる英文を探すのに時間を要した受検生も多かったと思われます。

3 物語文の読解(約1690語):小問数10

「大切にしているものを人にあげることの幸せ」について描かれた物語です。冒頭の短い物語文と、本文の内容が重なるように描かれています。例年出題される、対話の流れに合うように空所を埋める問2は、話のテーマにかかわる問題で、心情を表す表現と物語全体を見渡す視野の広さが求められています。問6は友人が書いた日記の空所に10語以上の英語を入れる問題です。想像ではなく、本文の内容を踏まえて答えることが要求されています。本文は難解ではないものの、日頃から様々な英文に触れて速読力をつける必要があります。

4 条件英作文:小問数3

例年大問3にあった英作文が独立して大問4となりました。問1は電子書籍を読む生徒数の推移を表したグラフを読み取り、英文の空所に5語以上の英語を入れる問題で、問2は短い対話文中の2つの空所にそれぞれ10語以上の英語を入れる問題でした。部分的な英作文になったことで例年よりも取り組みやすかったと思われます。

長文読解 記述 文法 リスニング 発音・語彙
日本語 英語 大問 長文内
2025年 対話文 物語文        
2024年 対話文 説明文        
2023年 対話文 説明文        
2022年 対話文 説明文        
2021年 対話文 説明文        

数学

1 小問集合

工夫を要する数式の計算、連立方程式、確率、データの活用、作図の5題からなる小問集合でした。〔問3〕の確率は難度が高めでしたが、他の4問に関しては丁寧に解き進めて、正解しておきたい問題でした。

2 二次関数

放物線と座標平面上の図形に関する問題でした。都立青山高の受検生であれば、類題の演習経験があると思われるので、完答を目指したい大問でした。〔問2〕(2)は図形的性質に気づくことができれば、平易な計算で解答を求めることができました。

3 平面図形

平行四辺形の辺上に条件を満たす点をとったときの、角度や面積について考える問題でした。〔問1〕、〔問2〕は基本問題ですので、手早く正解しておきたいところです。〔問3〕は面積の等しい三角形を選択肢から選んで、その証明をする問題でした。2024年にも同様の形式での出題がありましたが、書きづらい証明なので苦労した受検生も少なくなかったことでしょう。

4 空間図形

直方体の辺上にある4点を結んでできる立体について、会話文を読みながら解いていく問題でした。〔問1〕は基本問題、〔問2〕は穴埋めによって解法記述を完成させる問題でした。会話文が誘導になっているので、迷わず解き進めることができたと思われます。〔問3〕は標準的な難度でした。〔問2〕の最後の文章を上手く活用することができたかどうかがポイントだったことでしょう。

計算問題 整数 作図 証明 文章題 平面図形 関数 二次関数 場合の数 確率 データの活用 空間図形
2025年            
2024年          
2023年          
2022年            
2021年            

国語

1 漢字の読み取り

計5問が出されました。文章でよく目にする語句が多く、標準的な難度でした。

2 漢字の書き取り

こちらも計5問出されました。例年より取り組みやすい難度でしたが、問題文の意味から漢字を考える必要がありました。

3 上田健次『中野「薬師湯」雑記帳』

銭湯の仕事を手伝いながら大学に通っている主人公がプラネタリウムの見学を通して気づきを得る姿を描いた小説文です。セリフも多く、具体的な場面が一人称視点で展開していくので、読み取りやすい内容だったと言えます。記述1問以外はすべて記号選択でしたので、手早くこの大問を仕上げることが全体で高得点を取るために鍵となりました。

4 保坂和志『世界を肯定する哲学』

2022年から3年間続いていた2つの文章を複合的に読み解く形式がなくなりました。記憶のあり方について分類しながら、人間と記憶との関係を考察した論説文でした。例年より文章の抽象度は高くないものの、字数の短い記述が2問あり、時間的なゆとりはありません。制限字数200字以内の作文では、生徒A~Eの話し合いの様子をふまえて解答を作成する形式のため、高水準の読解力と表現力が求められています。

5 若山滋『文学の中の都市と建築』

『枕草子』における建築空間のとらえ方や美意識について論じた文章でした。2024年に5問に増加した抜き出しが2問に戻り、時間的な余裕ができました。ただし記号選択ではまぎらわしい選択肢が含まれていたため、的確に解答するためには高い読解力が必要となりました。

文章1 文章2 文章3 文章4
2025年 上田健次『中野「薬師湯」雑記帳』 保坂和志『世界を肯定する哲学』 若山滋『文学の中の都市と建築』
2024年 竹内真『図書館のピーナッツ』 上村博の文章/小林太市郎の文章 野内良三『無情と偶然』
2023年 瀧羽麻子『虹にすわる』 小川仁志の文章/東中竜一郎の文章 鈴木健一『古典詩歌入門』
2022年 山本甲士『わらの人』 加藤尚武の文章/岩佐茂の文章 高橋和夫『日本文学と気象』
2021年 竹西寛子『木になった魚』 森山徹『モノに心はあるのか』 奧野卓司『鳥と人間の文化誌』