高校受験 数学解法研究(解き応えのあるオリジナル問題を公開中)
オリジナル問題
目次
数学解法研究10(整数)
問題
一の位が0でない2けたの自然数nについて,「2乗して,求めた数の下2けたの値を答える」という操作を行います。
この操作を複数回行うときは,前の操作で求めた値に対して同じ操作を繰り返します。また,04のように操作後の十の位が0のときは,次の操作では一の位を2乗して値を求めるものとします。(この場合は42=16)
例えば,n=54のとき,
1回操作を行うと,542=2916 よって,16
2回操作を行うと,162=256 よって,56
3回操作を行うと,562=3136 よって,36
このとき,次の問いに答えなさい。
- n=96のとき,4回操作を行ってつくられる値を求めなさい。
- 1回操作を行って,つくられる値の一の位が6になるnは何個あるか求めなさい。
- 1回操作を行って,96になるnの値をすべて求めなさい。
- 2018回操作を行って,96になるnの値をすべて求めなさい。ただし,何回か操作を行って96になるnで,初めて96になるまで6回以上操作を行うものは存在しないことがわかっている。
- 2017年度実施「筑駒高入試プレ(中3)」より
作問者からのメッセージ
この問題は自然数の下2けたを2乗する操作において,同じ数が繰り返し登場する性質を題材にしています。問題文を一見しただけでは複雑な操作に見えますが,自ら手を動かして解き進めていくことでその普遍的な性質に気付けるようになっています。最難関高の入試問題においても,実際に手を動かしてみることが理解につながり,突破口が開けるものが数多くあります。受験生の皆さんは,どんな問題に対しても先入観を持たずに,粘り強くアプローチすることを心掛けてください。
数学解法研究9(一次関数)
さらに,点Bを通り,傾きが- 1 2 の直線mとy軸との交点をCとするとき,次の各問いに答えよ。
- ACの中点の座標を求めよ。
- △ABCの面積を求めよ。
- 次に,直線l,m,y=9上にそれぞれ点P,Q,Rを,四角形BPRQがBP:BQ=2:1の平行四辺形となるようにとるとき,その面積を求めよ。
ただし,点P,Qのいずれのy座標も正の数になるものとする。
【この問題は,答えに至るまでの途中過程や図を解法欄に記入すること】
- 2017年度実施「第1回 サピックスオープン(中3)」より
作問者からのメッセージ
この問題は一次関数として出題しましたが,座標平面における平面図形(平行四辺形)の問題なので,平面図形の特徴を意識して解き進めることが必要です。実際の入試問題でも関数+図形の出題は多く見られます。(3)では,答えまで辿りつく過程でほぼ相似しか使いません。平面図形の重要事項とともに,座標平面における基本知識も確認できる問題です。受験生の皆さんには,小問ごとのつながりと与えられた数値の意味を考えながら,そして出題者の意図を意識しながら解き進めてほしいと思っています。
数学解法研究8(空間図形)
問題
下の図1に示した立体ABCD-EFGHは,AB=8cm,BC=BF=6cm,DG=10cmである直方体を表している。
点Pは,頂点Gを出発し,毎秒3cmの速さで辺GC,辺CB,辺BA 上を,G→C→B→Aの順に移動し,頂点Aに到着して止まる。点Pと頂点D,点Pと頂点F,点Pと頂点G,頂点Dと頂点F,頂点Dと頂点Gをそれぞれ結び,立体P-DFGをつくる。
次の各問に答えよ。
(問1)下の図2は,点Pが頂点Gを出発してから1秒後の状態を表している。このとき,立体P-DFGの体積は何cm3か。
(問2)点Pが頂点Cと一致したとき,点Pから△DFGに下ろした垂線の長さは何cmか。
(問3)下の図3は,図1において辺DH上にある点をQとし,点Qと頂点D,点Qと頂点F,点Qと頂点Gをそれぞれ結び,立体Q-DFGをつくった場合を表している。
点Qは,点P が頂点Gを出発するのと同時に頂点Dを出発し,毎秒1cmの速さで辺DH上をD→Hの順に移動し,頂点Hに到着して止まる。
立体P-DFGと立体Q-DFGの体積が等しくなるのは,2点P,Qがそれぞれ頂点G,頂点Dを出発してから何秒後か。
ただし,2点P,Qがそれぞれ頂点G,頂点Dにあるときは考えないものとし,答えだけでなく,答えを求める過程が分かるように,途中の式や計算なども書け。
- 2017年度実施「都立進学指導重点校入試プレ(中2)」より
作問者からのメッセージ
中2対象の公開模試で出題した,直方体の辺上を動く点とそれによってできる三角錐に関する問題です。「線分と平面の位置関係を正確に捉える」ことがポイントです。また,「適切な平面を取り出して考える」「等しい角度に印を付ける」「状況に応じて図を描き直す」といった図形問題を解く上での基本が盛りだくさんに含まれていますので,解くだけでも勉強になる一問ではないかと思います。実際の模試では「高さ」となる線分を正確に捉えられていない答案が多く見られましたが,読者の皆さんは難なくクリアできるでしょうか。ぜひ,挑戦してみてください。
数学解法研究7(整数)
問題
ある自然数nについて,次のような作業を行います。
① nを12で割り,その商をさらに12で割る。商が0になるまでこれを繰り返す。
② ①の割り算を行った際に生じた余りを,右づめで続けて記録していく。割り切れたときは,余りが0であったものと考え,0を記録する。
③ 最終的に記録された数を【n】とする。
例えば,n=564のとき,
564÷12=47 余り0
47÷12=3 余り11
3÷12=0 余り3
となり,右から順に0,11,3が記録されるので,【n】=3110 です。
このとき,次の問いに答えなさい。
- 【n】=345 であるとき,nの値を求めなさい。
- 【n】=1111 を満たす自然数nのうち,最小のものと最大のものをそれぞれ求めなさい。
- 【n】が2017桁であるとき,n≦12xを満たす自然数xのうち,最小のものを求めなさい。
- 2016年度実施「筑駒高入試プレ(中3)」より
作問者からのメッセージ
12で割った際に生じた余りを書き並べる,というルール設定を読んで,「記数法」を想起できるかどうかが,この問題の最大のポイントです。そのうえで,例えば1111という表記には「1,1,1,1」「1,1,11」「11,11」といった複数の読み方があるということを踏まえ,nが最小になるとき,また,最大になるときに,どう読むのが最適なのかを考えることが必要です。そして,12で割った回数が多ければ多いほど,もとの数nが大きいのだということに気づけば,一気に前進します。初めて見るタイプの問題に対し,すでに学習している内容と結びつけて,知識を活用できるかどうかが問われます。ぜひ,チャレンジしてみてください。
数学解法研究6(直線図形と作図)
問題は下記からご覧ください(PDF形式)。
- 2017年度実施「第3回 サピックスオープン(中2)」より
作問者からのメッセージ
作図の問題は,「基本となる作図法をどう利用して解くか」というテクニカルな解決法に流されがちです。この問題では作図すること自体を問うのではなく,作図法は問題の中で示しています。「そこから何が分かるか」「なぜそのように作図したのか」ということを考えてほしいという思いをこめて作題しました。
数学解法研究5(円)
問題
下の図は,AB>AC の△ABCと,3点A,B,Cを通る円である。BCの延長とAを通る円の接線との交点をDとし,DA=DE となる点Eを辺BD上にとる。また,直線AEと円との交点のうち,Aとは異なる方をFとする。AE=4√5,BE=10,FE=3√5であるとき,次の問いに答えなさい。
- ECの長さを求めなさい。
- CDの長さを求めなさい。
- AB:AC を求めなさい。
- FCの長さを求めなさい。
- 2019年度実施「慶應女子高入試プレ(中3)」より
作問者からのメッセージ
慶應女子高校の数学の入試問題では,不正確な図が示されることがあり,「見た目」に惑わされることなく問題の本質を理解する力が求められます。(1)~(3)は標準レベルの問題です。(4)については,実際の模試では「6√5 」という誤答が非常に多く見られました。図形の問題を解く際には,「なぜその長さになるのか」「なぜその角度になるのか」といった根拠を考える習慣をつけましょう。このような問題への対応力が上がるはずです。
数学解法研究4(空間図形)
問題
上の図はある立体の展開図である。
BC=CD=DE=FG=GH=HJ=6,BF=CF=CG=DG=DH=EH=EJ=9 であるとき,この展開図を組み立ててできる立体について,以下の問いに答えよ。
- この立体において,四角形CDHFの面積を求めよ。
- この立体の各頂点を通る球Pの半径を求めよ。
- この立体において,面ABCと面HIJの2 面間の距離を求めよ。
- この立体の中に含まれる球Qの半径の値として考えられるもののうち,最も大きいものを求めよ。
- 2017年度実施「開成高入試プレ(中3)」より
作問者からのメッセージ
この問題を解くための最大のポイントは,展開図を組み立てた時にできあがる立体の形状を,できるだけ正確にイメージすることです。見慣れない形に一瞬驚くかもしれませんが,見取り図を描きじっくりと観察して,この立体が「正六角柱の角をいくつかそぎ落としたもの」であることに気付くことができれば解き方の道筋が見えてきます。今まで見たことがないような問題に対しても慌てずに,まずは「自分が知っている問題との共通点を考えてみること」が大切です。
数学解法研究3(二次関数と円)
問題
下の図のように,原点をOとする座標平面上の放物線 y=x²上にx座標が負である点Pをとり,Pを中心としてx軸と点Tで接する円Pをかく。円Pとy 軸との交点のうち,y 座標が大きいものから順にQ,Rとおき,直線PQと円Pとの交点のうち,x座標が小さい方をSとおく。また,直線PQとx軸との交点をA,放物線との交点のうちPでない方をBとおくと,AP:PB=4:5となった。
このとき,次の問いに答えよ。
- 点Bからx軸に垂線BB’を下ろす。PT:BB’,TO:OB’をそれぞれ求めよ。
- AP:PT,直線PQの傾きをそれぞれ求めよ。
- 点P,点Bの座標をそれぞれ求めよ。
- 点Rの座標を求めよ。
- △STQ:△PRB を求めよ。
- 2016年度実施「開成高入試プレ(中3)」より
作問者からのメッセージ
二次関数と円の組み合わせなので一見すると複雑そうに見えますが,開成高を目指す中3生ならば難なく解いてほしい問題です。小問の意図を理解して,そこで得たことを利用しながら解き進めましょう。また、基本的な解法がいくつも組み合わされているため,それらがしっかり身に付いているかどうかも問われます。ぜひ,チャレンジしてみてください。
数学解法研究2(直線図形)
問題
上の図のように,BC=10 で,面積が50である△ABCの辺BC上に,BD=2,CE=4 となる2点D,Eをとる。また,辺AC上に AF:FC=3:5 となるような点Fをとる。さらに,線分EGで△ABCの面積を二等分するように,辺AB上に点Gをとる。
DFとEGとの交点をPとするとき,次の各問いに答えよ。
- △ABC:△FDC を求めよ。
- AG:GB を求めよ。
- 四角形AGPFの面積を求めよ。
- 2016年度実施「サピックスオープン(中3)」より
作問者からのメッセージ
この問題では,小問ごとのつながりを意識して,分かったことを利用しながら解いていく力=分析力が求められます。序盤は単純な面積比の公式で解けますが,そこで得た事実を利用して,求めやすい図形に置き換えることで最後の小問の答えまでたどりつけます。
なお,これは2016年9月のサピックスオープンでの出題ですが,翌2017年のラ・サール高校の入試にて,設定が非常によく似た問題〔大問2(4)〕が出されています。あわせてチャレンジしてみてください。
数学解法研究1(空間図形)
問題
半径が6cmの球が2つあり,中心をO1,O2 とする。球O1 は正八面体ABCDEFに△ABE,△ABC,△ACD,△ADEで接し,球O2 は△FBE,△FBC,△FCD,△FDEで接しており,球O1 と△ABEの接点をPとおく。
2つの球O1,O2 が交わってできる円の直径の長さが4√6cmのとき,次の問いに答えなさい。
- O1から面BCDEまでの距離を求めなさい。
- 正八面体ABCDEFの1辺の長さを求めなさい。
- 点Pを通り,△ACDに平行な平面でこの立体を切断するとき,球O1,球O2の切断面の面積を求めなさい。
- 2019年度実施「筑駒高入試プレ(中3)」より
作問者からのメッセージ
立体図形の問題では, 「対称な平面を抜き出すこと」がポイントであることが往々にしてあります。筑駒高の入試は制限時間が45分と短く,高い処理能力が求められますから,まずはこの平面の抜き出しがスムーズにできるかどうかが第一関門です。
その上で,筑駒高受験生なら基本~標準レベルの(1)(2)は正答したいところです。(3)では新たな平面が登場しますが,まずは(1)で抜き出した平面上で考えてみましょう。
この問題は『筑駒高入試プレ』の大問4(最後の大問)です。実際の入試では時間との闘いも重要になってきますが,まずは時間制限なしで解いてみてください。