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【親子インタビュー】
受験直前まで試行錯誤を繰り返し
弱点を克服して筑駒高合格を果たす

インタビュー

筑波大学附属駒場高校1年
(中学部荻窪校卒業生・Y-SAPIX本部校生)
M・Iさん


お母さま
N・Iさん

※2024年12月取材時点

新中2の3月にSAPIX中学部に入室したM・Iさん(以下Mさん)。講師の勧めもあり、当初は考えていなかったという高い目標に挑戦し、見事、筑波大学附属駒場高校の合格を勝ち取りました。

しかし、その道のりは決して平坦なものではなかったようです。時に心が折れそうになりながらも、諦めずに最後までたゆまぬ努力を続けたMさんと、その日々を支えたお母さまに、2年間の受験生活を振り返っていただきました。

思考力重視のメソッドにひかれ
新中2の時にSAPIXへの入室を決意

――MさんがSAPIXに入室したきっかけを教えてください。

Mさん 中2になる直前の3月に荻窪校を訪れた時、室長の若松先生が、思考力を重視した英語の問題の解き方について具体例を用いて説明してくれました。

奥深くまで考えて解答を導くプロセスが強く印象に残り、「こういう考え方ができるようになりたい」と、SAPIXへの入室を決めました。

お母さま 息子は、中学受験では思うような結果が得られませんでした。

中1の間はそのまま同じ塾に通っていましたが、ある日、本人が「他の塾も見てみたい」と言い出したのです。近隣の塾の資料を取り寄せ、最初に訪問したSAPIXで先生のお話がすとんと腹に落ち、すぐに気持ちが固まったようでした。

――実際に通塾してみていかがでしたか。

Mさん 中1の1年間で先に進んでしまっている内容もありましたが、授業外のフォローを活用し、細かい部分を先生に質問しながらこつこつと学習を続けた結果、中2の夏頃には追い付くことができました。

また、理科と社会の授業が新たに加わったことで、受験への意識も高まりました。

――質問や相談がしやすい雰囲気だったのですね。

Mさん そうですね。ちょうど私が入室したタイミングで、クラス数が増えたことで1クラスあたりの人数が減ったため、個別の質問もしやすくなりました。

中3になると時間が限られてきて自分だけで間違いを見つけるのが難しくなり、特に社会と数学についてはよく質問に行っていました。

お母さま 入室時には、医学部へ内部進学できる慶應の附属校か、近所の都立西高を狙えればと考えていたのですが、中2の時、クラス担任の先生に「筑駒高や開成高を目指せます」と言われ、信じられずに室長の若松先生に三者面談をお願いしたこともありました。「サービストークですよね?」と尋ねたところ、「いえ、サービストークではありません」とはっきり答えていただきました。

若松先生には「何でも言ってください」という力強い言葉をいただき、実際、精神的なサポートを何度もしてもらいました。表情をあまり崩されない方なのでクールな印象を受けるかもしれませんが、これから荻窪校に通う皆さんも安心してください!

受験学年に厳しい状況が重なり
志望校決めが難航

――志望校はどのように決めましたか。

Mさん 先生方の言葉を受けて、中2からとりあえず開成高や筑駒高を目標にしていましたが、開成高を第一志望に考えるようになったのは中3の秋頃です。

お母さま 最初のうちは「ここに行きたい」という明確な希望がなかったこともあり、志望校を決定するのが難しかったのではないでしょうか。

中2のサピックスオープンでは筑駒高、開成高の合格可能性が80%だったのですが、中3になって初めて「勉強がつらい」という言葉を聞くようになりました。それに加えて、中3の6月には私自身が病気のために入院して手術を受けることになってしまい、受験の方向性がなかなか定まりませんでした。

――ご家庭も大変な状況だったのですね。

お母さま 実は、「開成 英数特訓」や「筑駒 理社特訓」の講座も、私の入院治療の時期と重なっていました。それでも、両方の講座を受講することができたので、「記念受験になるとしても、やれるところまでやってみたら」と話した覚えがあります。

10月にやっと私が高校の説明会に行くことができ、「理科好きの息子には、充実した理科の設備がある開成高が合っているのでは?」と感じました。息子自身も開成高の新校舎のお披露目には夫と2人で参加しており、実際に自分の目で見た学校であったためか、開成高に行きたいという気持ちが芽生えたようです。

結局、わが家では、進学することになった筑駒高に本人が訪れる機会を作れませんでしたが、受験を予定している学校には、ぜひお子さんを連れて行かれることをお勧めします。

中3以降、学習量の多さに苦戦も
各教科で自分なりの勉強法を考案

――中3で勉強がつらいと思うようになったのはなぜですか。

Mさん まず、課題の量がそれまでとは比べものにならないほど増え、4~5月はそのことで苦戦しました。何とかその量に慣れ、夏期講習は時間を全て勉強に注ぐ気持ちで乗り切りましたが、後期になると理科と社会の学校別問題集が加わり、日曜日のSS(サンデー・サピックス)特訓も始まりました。

やらなくてはならないことが多過ぎて追い付けず、10月には成績が大幅に下がってしまいました。11月以降は苦手分野の補強に重点を置く方針を立てたものの、都立日比谷高の問題が解けなかったので、母に「志望校を下げたい」と話しました。

お母さま 9月に友達と一緒に中学の先輩がいる都立西高の文化祭に行ったら、とても楽しかったようです。いろいろな思いが頭の中で渦巻いていたのでしょう。「都立日比谷高ではなく、都立西高にしたい」と涙ながらに訴えたので、私も切なくなって何も言えませんでした。

いったんその気持ちを受け止め、SAPIXに電話をして、若松先生に事情をお話ししました。

Mさん 翌日、SAPIXで先生から「今、志望校を下げたら、下がる一方だよ」と言われました。その言葉に背中を押され、今は耐え抜くしかないという気持ちで前向きに11月末の筑駒高入試プレ(現 学校別サピックスオープン(筑駒高))に臨んだのですが、そこで合格可能性20%という現実を突き付けられたのです。

ただ、その後もさまざまな対策を試みた結果、開成高入試プレ(現 学校別サピックスオープン(開成高))では60%の判定を出すことができ、本番に向けて勉強を継続するモチベーションを保てました。

――どのような対策をしていたのですか。

Mさん 国語はずっと苦手だったので、「伸ばすことよりも、これ以上落とさないように」と考え、低い状態を推移しながらも何とか持ちこたえた感じです。

数学は、中2の終わり頃には一番高い偏差値を取れていましたが、中3の夏頃から解き直しに手が回らなくなったために、成績が下がった時期がありました。先生から苦手な単元を洗い出すよう助言を受け、9月以降は確率の単元を鍛え直すことになりました。個別に課題を出してもらって基本的な考え方を身に付け、11~12月頃には再び得意教科に戻すことができました。

英語は最も変動が激しかった教科です。中2までは数学よりも得意といえるほどでしたが、中3に入って難しい単語が増え、それが長文読解にも悪影響を及ぼし始めました。そこで、SAPIXに通っている同じ中学の友人と帰り道や学校で『High Level英単語』の問題をお互いに出し合いながら覚え、12月についに単語の問題を克服しました。とはいえ、中2の頃に比べると上げ切れなかったという心残りがある教科ですね。

――理科と社会はどうでしたか。

Mさん 得意な理科は、中3 後期に学校別問題集の課題に手が回らずに演習量が少なくなってしまったこともありましたが、最後まで順調でした。

一方、社会はカタカナの文字を覚えるのが苦手で、非常に苦労しました。筑駒高入試プレで自分の得点の低さに危機感を抱き、それをきっかけに、分からないことはとにかく調べてノートにまとめることにしました。時折、自分でテストしながら知識を体系化することで、12月の段階でようやく“社会の解き方”が分かってきました。

お母さま 教科ごとに浮き沈みがあったことや、弱点を探しながら入試直前にそれほどの細かい対策をしていたことは全く知りませんでした。息子が努力していたことを、今あらためて実感しています。

苦手な社会を克服するために作成していたノート。このノートを活用して解答を導き出す方法をつかんだことにより、特に記号選択の問題が多い筑駒高の社会が解きやすくなりました

過去問での入試対策が効果的
高校生活は部活・行事が充実

――学校別の対策はいつ頃から始めましたか。

Mさん 過去問演習に本格的に取り組み始めたのは11月頃からです。筑駒高の英語は分量がそれほど多くないので、先生にすすめてもらった古い過去問を解き進めるうちにこつをつかみ、スムーズに解けるようになりました。

得意な数学と理科で点が取れないと合格圏内に届かないことが多かったため、その2教科でしっかり点を取るようにイメージしていました。

筑駒高は、どの教科も過去問を解くことが他の学校以上に効果的だと思います。

食事でのサポートを心掛け、お母さまが受験当日にも持たせていた卵焼きとお守り代わりのふくろう柄の箸。代替わりした箸とともに、卵焼きは今も毎日のお弁当に欠かせない存在だそう 食事でのサポートを心掛け、お母さまが受験当日にも持たせていた卵焼きとお守り代わりのふくろう柄の箸。代替わりした箸とともに、卵焼きは今も毎日のお弁当に欠かせない存在だそう

――筑駒高の入試本番や、合格発表の様子をお聞かせください。

Mさん 第一志望の開成高は残念ながら不合格となってしまいましたが、筑駒高の入試には割とリラックスして臨むことができました。

募集定員が40名で、受験者数が150 ~ 200名ということもあり、全受験生を一つの会場に集めて実施するのが他校とは大きく異なる点でした。受験会場が広くて音響もあまり良くないため、英語のリスニングはかなり聞き取りづらかったです。

それでも、全体的に運が味方してくれて、素直に答えが出せた気がします。あまりにストレートに解答できたので、試験後に「何か見落としていることがあるのでは?」と不安に思ったほどです。

余談ですが、昼食の時に移動した教室の机に消しゴムのかすが散らばっていて、細かいところにこだわらない筑駒らしさが入試当日にも感じられましたね。

お母さま 受験体験記にも書かせていただきましたが、開成高の入試前日に息子と衝突してしまいました。開成高の結果を知ってから「私のせいで集中力を欠いたのでは」とひどく落ち込んでいて、正直、筑駒高に合格できるとは思っていませんでしたので、URLを入力した瞬間、息子の受験番号が目に飛び込んできてびっくりしました。

先に帰ってきた弟も、玄関で飛び上がって喜んでいましたね。「お兄ちゃん、筑駒にはきっと受かっているから大丈夫!」と、ずっと励ましていたんです。その後、本人が帰宅し、信じられないと驚いていた姿が鮮明に記憶に残っています。

――筑駒高に1年間通ってみていかがですか。

Mさん 私が一番力を入れているのが部活動です。陸上部と演劇部に所属していて、陸上部では夏の大会まで1500メートルに出場していました。演劇部は先月都大会に出場しました。その後部長を引き継ぎ、地区委員という、周辺の高校との合同演劇をする委員にもなりました。

また、筑駒には音楽祭、体育祭、文化祭の三大行事があります。音楽祭では指揮者を務めましたが、最もインパクトがあったのは文化祭です。皆で積極的に取り組みました。

お母さま 筑駒は文化祭をやるために入るという方がいるくらい、白熱した準備が繰り広げられます。私もその熱の入り方には驚きました。

生徒の熱意があふれる「文化祭」や「音楽祭」と並ぶ 筑駒三大行事の一つ「体育祭」では、クラス対抗の中距離リレーに参加。2日間にわたり、学年を縦割りに したチームで優勝を競い、大いに盛り上がりました

6月の音楽祭では指揮者としてクラスをまとめたMさん。所属する演劇部では東京都の大会に出場して入賞し、その後部長を務めるなど、多忙ながらも充実した高校生活を送っています

SAPIXの講師のフォローも力に
未知の高校受験の壁を乗り越える

――受験を終えて得た気付きはありますか。

Mさん 高校受験は努力がしっかり反映されるものだと思います。だからこそ、まず、どのように勉強すべきかを見つけ出すことが必要でした。自分の弱点を正確に理解し、それを踏まえて対策を練る上で、SAPIXの先生こそ最も頼れる存在だったと感じています。

――最後に、受験生と保護者へのメッセージをお願いします。

Mさん 学習面でのアドバイスとしては、得意教科を必ず一つ作ることです。それが最終的に行き詰まった時の支えになります。

もう一つはテストの解き直しをきちんと行うこと。多少雑になっても構わないので、忙しくても必ず目を通し、どういう間違い方をしたのかを確認しましょう。私は開成高入試プレの前に行われた過去問演習の復習を十分にできず、それが合否を分けるポイントになったのではないかと反省しています。

それから、志望校を見学するなら、中1・2の間に行うのがお勧めです。中3になってからだと、やるべき課題が終わらずにもやもやした思いのまま参加することになり、学校の魅力が半減してしまうかもしれません。

志望校を決めるのは大切ですが、それが難しいこともあります。その時は、勉強の質を下げすぎない程度に自分へのご褒美を設け、目の前の目標を少しずつ達成しながら楽しく勉強を進めていけば良いと思います。

お母さま 私にとって、息子の高校受験は全てが未知の世界で、無我夢中の毎日でした。武道やスポーツの経験もある息子には、受験にも精神的な強さを持って挑んでほしいという思いもありましたが、思い詰め過ぎるのも問題です。中学受験とは違い、思春期に差し掛かる子どもに対するさじ加減の難しさを痛感しました。母親は口を出し過ぎず、健康管理などの後方支援に徹し、男の子の場合、父親も一緒にうまく受験に参加できれば心強いかもしれませんね。

もし、メンタルが不安定だと感じたら、SAPIXの先生に相談してみてください。親には甘えが出ても、先生からのアドバイスは子どもが自然に受け入れやすいのではないでしょうか。

講師からのメッセージ

荻窪校 室長
若松

筑駒合格、改めておめでとうございます。

楽しく充実した学校生活を送っていることと思います。

受験期は勉強の質問、相談によく来ていたことを覚えております。不安なこともあったと思いますが、投げ出さず受験にしっかり向き合って頑張った結果がこの素晴らしい合格につながったと思います。

Mさんの努力を継続できる力は1つの才能だと思います。是非そのスキルを活かし、様々な分野で活躍してください。成長したMさんにまたお会いできる日を楽しみにしております。