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灘高等学校 2024年出題傾向リサーチ

出題傾向リサーチ

英語

1 エッセイの読解(約780語):小問数14

父親が心臓の手術を受ける前の混沌とした状況を描いたエッセイです。父親のセリフを具体的に和訳する問7をはじめ、筆者の心情理解のみにとどまらない問題が多くあります。

2 リスニング問題:小問数5

さまざまな職業の人を学校に招いて話をしてもらうイベントを振り返る放送を聞き、その内容についての正誤を判断する形式です。

3 適語句選択:小問数4

空所に入る適切な英語を選ぶ問題で、標準的な難度です。抽象度の高い長文や記述問題だけに気を取られず、大問3や大問5のような問題で確実に正解することも、灘高合格に欠かせない要素です。

4 エッセイの読解(約570語):小問数8

喪失感を和らげる方法についてのエッセイです。内容の理解度を測る出題が多く、語彙問題である問4、問7でも、前後の内容から解答を導く必要があります。

5 正誤:小問数5

英文中から誤りのある下線部を選ぶ問題です。動詞の語法が多く問われています。

6 エッセイの読解(約590語):小問数8

日本に住むイギリス人の筆者が、いかに自分が日本に染まりつつあるかをユーモラスに語ったエッセイです。英語の格言を本文の内容に合わせて日本語で説明する問1では、全体を俯瞰して要素を掴み、30字以内でまとめる記述力が求められています。

7 和文英訳:小問数3

「機械化」や「側面」などの日本語を、自分が持っている知識で英語に訳す工夫が必要な出題です。

8 自由英作文:小問数1

嘘をつくことの是非を述べる内容です。語数指定はありませんが、解答欄の大きさを参考に、理由や経験談を交えて説得力を持たせる必要があります。

数学

1 小問集合

(1)平方根の整数部分、(2)二次方程式、(3)折り返し図形、(4)場合の数の4問でした。(4)は慎重に調べ上げる必要があり、自信を持って解答できた受験生は少なかったと思われます。それ以外の小問は取り組みやすいため、ここでの失点はできる限り抑えておきたいところです。

2 売買の文章題

ある商品の売買に関する文章題でした。式を立てること自体は難しくないものの、(1)から高い計算力が求められました。難度が高い問題ではないため、計算ミスに注意すれば高得点も狙える大問でした。

3 二次関数

放物線と、平行な直線によって作られる図形に関する大問でした。図が与えられていませんが、すべて典型問題なので、短時間で確実に正解を積み重ねておきたいところです。

4 平面図形

同一平面上に5つの点があり、その一部の点が条件を満たすように動いたときにできる図形について考える問題でした。点がどのような範囲を動くのか把握するのに手間がかかるため、類題演習の経験の有無によって差がついたと思われます。

5 空間図形と内接球

立方体と、その内部にできる四面体の内接球に関する問題でした。(1)(2)は基本問題、(3)は計算量が多いものの典型問題なので、自信を持って解答できた受験生も多かったことでしょう。

6 証明問題

三角形の内接円・外接円に関連した図形の証明問題でした。(1)(2)ともに解答の方針は立てやすく、完答を目指したい大問と言えます。

国語

1 谷川嘉浩『スマホ時代の哲学』

スマートフォンの登場が人間にどのような影響を与えたのかを述べた論説文からの出題です。身近なテーマで筆者の体験をまじえた具体例も多く、読み取りの難しさはありませんでした。漢字の書き取りが9問、字数制限のない記述が5問、記号選択が1問という内容は、2023年と比べてボリュームがありました。ただし、文章内容を把握しやすかった分、解答作成に時間を要する問いは少なめでした。文章中で明言されていない筆者の心情を記述する問いでは、文章内容の深い理解が求められました。

2 梯久美子『水俣、石牟礼さんへの旅』

水俣病を取材した著作のある石牟礼道子氏に関する随筆文からの出題です。筆者と石牟礼氏の執筆姿勢の違いがテーマで、難解な表現はなく、読みやすい文章だったと言えます。字数制限のない記述が6問で、記述量は2023年と同程度です。傍線部の比喩表現を具体的に言いかえる設問が中心で、文章全体の内容を把握したうえで解答する必要のある、難度の高いものもありました。文章内容を把握する力と、とらえた内容を適切に表現する力の有無で点差がつく大問だったと言えます。

3 『閑居友』

互いを思いあっていた男女が別れる場面を描いた鎌倉時代の仏教説話集からの出題です。文章量は2023年から半減していたものの、古文の典型的な展開とは異なっていたため、解答に時間のかかった受験生も多かったと思われます。記号選択では単なる古文単語の知識だけでなく、文章内容の把握を要する難問も含まれていました。記述でも文章全体の内容を深く理解したうえで解答する必要のある問いが出されました。

理科

1 天体(地学)

天体に関する二つの文章の正誤の組み合わせを選ぶ、標準的な難度の問題でした。2022年と同様の形式での出題ですが、知識、計算能力、問題演習の経験など、総合的な力を必要とする大問でした。

2 イオン(化学)

酸とアルカリの反応に関する問題でした。灘高でときおり見られる高校での履修内容に即した問題で、問題文中の説明に基づいて考える力が問われています。問6の計算問題は難関校の受験生には対処しやすい内容でした。

3 電流(物理)

電球、抵抗線、検流計を用いた複雑な回路に関する問題でした。難関校の入試で見られる複数の題材を組み合わせているため、それぞれの演習経験だけでなく深い理解と発想力を必要とする、難しい問題でした。特に問4、問5は苦戦した受験生が多かったことでしょう。

4 植物(生物)

植物の分類と落葉するしくみに関する問題でした。さまざまな難度の知識問題や記述問題がありましたが、基礎レベルの問題の割合が高いため、それらを確実に得点したいところでした。

5 化学変化(化学)

水素と酸素の反応をテーマとする計算問題でした。問題文で与えられた条件を方程式の形で表現する能力が問われています。また、問題文の読み違えによって大きく失点する可能性があり、注意が必要でした。

6 エネルギー、水圧(物理)

エネルギーと水圧に関する計算を含む問題でした。この題材が灘高で出された例はあまり多くありませんが、似た考え方はさまざまな形で過去に出題されています。灘高の過去の入試問題で演習を重ねた受験生に有利だったものと思われます。