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お茶の水女子大学附属高等学校 2024年出題傾向リサーチ

出題傾向リサーチ

英語

1 リスニング問題:小問数4

放送を聞き、内容に関する質問への答えとして適切なものを選ぶ形式です。放送は1回のみのため、印刷されている質問にあらかじめ目を通し、質問のポイントをおさえておく必要があります。

2 リスニング問題:小問数3

例年通り、放送される英文の一部を書き取る形式です。英文は3回放送されるうち、2回目の放送がゆっくり読まれるので、もれなく書き取りたいところです。

3 説明文の読解(約710語):小問数13

道具の進化が、運動競技やアスリートにもたらすメリットとデメリットについての説明文です。例年通り、空所に適切な語を入れて要約文を完成させる出題で、本文内の単語の語形を変えたり別の表現を用いたりして解答するため、語彙の幅広い知識が求められました。

4 物語文の読解(約470語):小問数3

過酷な境遇のなか、自ら事業を立ち上げ、黒人女性の社会進出に影響を与えた女性についての物語文です。下線部の内容を具体的に説明する形式で、日本語の記述力が試されました。

5 説明文の読解(約370語):小問数6

ソフトドリンクが子どもの健康に与える影響についての説明文です。設問は空所に適する英文を1つずつ選ぶ形式で、内容は分かりやすいものの、選択肢を決定する際はその根拠を明確にする必要がありました。

6 条件英作文(約260語):小問数6

与えられた語句を順に用いて、不足している語を補い英文を完成させる例年通りの問題です。完成させる部分の前後の語句にも目を向け、表現すべき内容を素早く把握する力が必要です。

7 和文英訳:小問数2

例年出題されていた自由英作文ではなく、与えられた日本語の意味になるように解答欄に合う形で英文を書く問題でした。2問とも中学校で学習する文法知識を用いて無理なく解答できたと考えられます。

数学

1 計算系小問

(1)二次方程式、(2)平方根の計算でした。どちらも難度は高くありませんが、丁寧に処理することが必要なため、落ち着いて解くことで、完答を目指したい大問でした。

2 文章題

速さの文章題でした。(1)は基本問題です。(2)(3)はダイヤグラムを描くことで手早く答えを導くことができますが、(2)は答えが少し煩雑になるため、戸惑った受検生もいたことでしょう。

3 二次関数

放物線上にできる正三角形に関する問題でした。放物線の比例定数や直線の傾きが文字で表されているため、その符号を意識しながら図を描いて考える必要がありました。典型的な問題なので、符号ミスに注意して得点を重ねたい大問でした。

4 データの活用

小テストの結果を表した箱ひげ図から得点を考察する問題でした。お茶の水女子大附高ではデータの活用に関する問題は過去10年で初の出題であったため、類題演習の経験値によって差がついたと思われます。(1)の正誤問題は判断が難しい問題もあり、さまざまなパターンを考察する必要がありました。

5

(1)は作図、(2)は(1)の図から長さや面積について考える問題でした。(1)の作図は確実に得点したいところです。(2)は(1)で描いた図をもとに、等しい角度に注目して相似を見つけられたかどうかがポイントとなりました。

国語

1 今井むつみ・秋田喜美『言語の本質』

オノマトペについて分析した論説文からの出題です。2023年は2つの文章を組み合わせた出題でしたが、再び単一の文章に戻りました。内容は言語学に関する本格的なもので、注意深い読解が必要です。文章を読んだ2人の対話文を用いた新傾向の出題が見られました。対話文には本文の要約が含まれ、読解の手がかりにもなるもので、問いも難しくはありませんでした。お茶の水女子大附高では近年新傾向の問題が続けて出されていて、柔軟な対応力が求められています。ほかの設問では、記述が3問、空欄補充の記号選択が5問出されましたが、標準的な難度のものがほとんどでした。

2 石川達三『生きている兵隊』

日中戦争中の傷病兵たちの悲惨な様子を描いた、戦中に発表された小説文からの出題です。例年同様の古い文章のため注も多く、読み取りにはやや苦労します。記述2問のうち1問は制限字数100字以内で、本文全体をふまえて内容を充実させて書くのが難しく、差がついたものと思われます。記号選択2問は標準的な難度で、失点は避けたいところです。そのほか、漢字の書き取り5問と語句の知識3問が出されましたが、中学生にはなじみの薄い言葉も多く、苦戦した受検生が多かったと思われます。

3 『発心集』

鎌倉時代の説話集からの出題です。文章中の人物関係、会話文の話者などを正しくとらえることができれば、話の展開は読み取りやすいものでした。ただし例年同様、読み取りには古文単語、古典文法の知識が必要な部分が多く、それが設問にもなっているため、古文の知識の学習をきちんと重ねていた受検生が有利な問題だったと言えます。

理科

1 小問集合(物理、化学、生物、地学)

各分野における基礎知識を確認する問題でした。基礎知識をふまえたうえで問題の条件に合わせて答えを出す必要があり、正確な知識と思考力が求められました。難度は標準的なので、取りこぼしは最小限におさえたい問題です。

2 小問集合(物理、化学、生物、地学)

基礎的な計算問題とグラフの作図問題、記述問題が中心の小問集合でした。各現象が起こるしくみの理解が必要な問題でした。

3 天体(地学)

惑星についてやや発展的な知識と、与えられたデータを用いる計算問題でした。計算問題は、データを正しく活用する必要があり、得点差がついた大問と考えられます。

4 電流(物理)

(1)~(4)は電流に関する基礎レベルの問題だったので、全問正解したいところです。(5)は計算ミスをしないように注意したい問題です。(6)~(8)は、問われている状況をよく理解しながら解き進める必要があり、分析力が求められました。

5 化学変化(化学)

基礎から標準レベルの化学変化に関する知識・計算問題でした。化学変化について、付随する知識をしっかり習得し、類題の演習経験を積んでいた受検生は対応しやすかったと思われます。

6 動物(生物)

動物の消化に関する基礎から標準レベルの問題でした。(3)(4)は、問題文から用いるべきヒントを探る必要があり、正解に辿り着くには注意深く問題文を読み取りながら知識とつなげていく分析・思考力が求められました。(5)(6)は過去の入試問題でも見られた桁数の多い計算問題で、単位や計算ミスに注意したい問題でした。

社会

1 世界地理

西アジア・中央アジア・南アジアに関する問題でした。断面図を用いた問題は難度が高く、慎重な判断が必要でした。そのほかの問題は、高校入試では頻出の統計が用いられていたので、過去の入試問題で演習を積んでいれば容易に解答できるものでした。

2 地理総合

日本の自然災害に関する文を題材とした問題でした。台風の被害に関する文章記述問題は問題文から与えられた条件に沿って表を正確に読み取る力が要求されました。漢字3字指定の語句記述は、用語を正確に覚えていなければ解答できないものでした。

3 歴史総合(前近代史)

貨幣に関するレポートを題材とした問題でした。一部、解答を絞り込むのが難しい語句記述がありましたが、おおむね標準的な問題が並んでいて、かつ貨幣を題材とした問題は他校の入試問題でも頻出なので、受検生にとっては対策を取ることが十分に可能だった大問と言えます。

4 歴史総合(近現代史)

近代日本に関する3つの史料を題材とした問題でした。空欄補充や年代順に並べかえる形式の問題は、史料の内容を正確に読み取る力と、関連する知識を正確に整理する力が必要でした。

5 公民総合

郵便制度に関する文を題材として、政治・経済分野ともに幅広く出題されました。2つの文章記述問題はいずれも、関連する知識を整理しながら出題者の意図を汲み取って解答するものであり、知識量と思考力の双方が試されるものでした。