渋谷教育学園幕張高等学校 2024年出題傾向リサーチ
出題傾向リサーチ
英語
1 正誤:小問数6
2023年に出題された新傾向の適語選択から、2022年以前に出題されていた正誤問題に回帰しています。「誤りなし」という選択肢や、修正するべきポイントが同じ下線部中に複数ある問題があり、英文法の深い理解が求められています。
2 並べかえ英作文(約200語):小問数4
まとまった英文中にある空所に適するように、与えられた語句を並べかえて文を補うという、渋谷幕張高の特徴的な出題形式です。文脈把握と文法の両面から解答を導いていく必要があります。
3 英文記述:小問数2
与えられた日本語の文章内で、下線が引かれた部分を英語に直す形式です。2023年の出題形式を踏襲していますが、2024年は書き出しの語句が与えられています。正答するには下線部より前からの流れもふまえて解答に反映させる必要があり、単なる部分英訳の枠にとどまらない問題です。
4 説明文の読解(約440語):小問数7
ヴィーガンについての説明文です。設問はすべて内容把握に関するもので、文法や知識を直接問うものはありません。本文の内容も比較的平易なので、この大問をいかに素早く、正確にクリアできたかが重要です。
5 物語文の読解(約1080語):小問数13
お気に入りの本が学校の図書館から撤去されるという決定に、抗議しようとする少女の物語です。日本語の記述問題が4問を占め、問7、問8は主人公の父親による言動の意図を正確に汲み取り、少ない字数でまとめる必要があります。
6 リスニング問題:小問数7
Part 1、2に分かれていて、Part 1は放送が1回のみです。設問はすべて放送内容に関する質問の答えを選択するもので、人間の声以外にあえて背景音を入れているものもあります。
数学
1 小問集合
(1)平方根の計算、(2)因数分解、(3)整数と二次方程式、(4)平方根の整数部分でした。頻出分野ですが煩雑な計算を要するものもあり、(2)は共通因数にすぐに気づけなかった受験生もいたかもしれません。また(4)は戸惑った受験生も多かったと思われます。
2 二次関数
自分でグラフを描く必要のある二次関数の問題でした。渋谷幕張高を目指して学習してきた受験生ならば、解法に悩むことはなかったでしょう。難度も標準レベルなので、迷うことなく完答を目指したい問題です。
3 場合の数
12個の立方体を組み合わせた直方体の最短経路についての問題で、問題の流れに沿っていけば難なく解くことができたと思われます。時間をかけずに正解したい問題でした。
4 平面図形
直角三角形と正方形を組み合わせた問題でした。(1)(2)は解法によっては計算量が多いものの、確実に正解したい問題です。(3)は共円点に気づいたとしても、解法が思いつかなかった受験生も少なくなかったと思われます。
5 空間図形
立方体の切断についての問題でした。適切な平面を取り出すことができれば解き進められますが、後半にいくほど状況を把握しにくくなります。渋谷幕張高の受験生であれば(3)までは対応してほしい問題です。
国語
1 末木文美士『哲学の現場』
「自己意識」の本質について論じた文章でした。イメージしやすい具体例もあり、文章量も標準的なので、読み取りにくさはありません。記号選択は、傍線部前後の対応箇所や意味段落ごとの内容を的確に把握することで対応できる問題でした。字数制限のない記述は、設問の指示を読み落とさず、求められている内容を盛り込む必要があります。そのほか、漢字の書き取りと四字熟語は標準的な難度でしたが、文学史は答えを若干迷うものでした。
2 岡本かの子『家霊』
病に倒れた母に代わって老舗の料理屋を仕切ることになった主人公が、客と母の過去を知り、店への思いが変化していく様子を描いた小説文でした。同じ千葉県の進学校である市川高で2021年に同一文章が出題されていたので、目にしたことのある受験生も一定数いたと思われます。字数制限のない記述は、傍線部が長く、複数の内容を盛り込む必要があるため、得点に差がついたと考えられます。記号選択は、大問1と比べて選択肢が長く、解きにくさを感じた受験生も多かったと思われます。選択肢の細部を客観的に吟味し、解答する必要がありました。
3 『太平記』
室町時代の軍記物語からの出題でした。長めの文章で、和歌が3つ含まれているため、読み取りにくいと感じた受験生が多かったと思われます。注釈と登場人物の心理を的確に把握できたかどうかで、読解のスピードに差がついたと考えられます。字数制限のない記述は、設問の指示と解答欄の大きさを意識して答える必要がありました。文学史は基本的な知識が問われていたので、すべて正解したいところです。
理科
1 天気(地学)
上空の温度と湿度に関する問題でした。標準的な難度で、しっかり準備してきた受験生であれば類題を解いたことがあると思われます。グラフを活用する問題などに時間を取られすぎないように注意する必要がありました。
2 遺伝(生物)
遺伝の法則について、特殊な題材を用いた問題でした。条件がやや複雑で、正確に分析する力が求められました。条件の理解が十分であれば標準的な難度の問題ですが、不十分だと連続して取りこぼす可能性がありました。大きな得点差が生じたと考えられます。
3 化学変化(化学)
化学変化やイオンの知識とその活用についての大問でした。例年通り、教科書では見慣れない化学変化や化学式が問われました。ただし、過去の入試問題に取り組んできた受験生が驚くような内容ではなく、むしろ扱いやすい難度であったと思われます。記述問題も解答しやすく、ミスは最小限に抑えたい問題です。
4 光(物理)
凸レンズの性質に関して、カメラの仕組みをもとに考察する問題でした。文章量や設問数は少なかったものの、(4)(5)は類題の演習経験が正答率を大きく左右したものと考えられます。差がついた大問でしょう。
社会
1 歴史総合
九州各地の地誌や「歴史総合」の授業に関する文章を題材とした歴史の総合問題でした。難解な知識を必要とする問題は減りましたが、中学学習範囲を広く深く習得する必要がありました。文章記述は2023年の6問から4問に減りましたが、知識だけでなく、資料・写真の内容や歴史的事実のうち、何について答えなければならないのかという的確な判断が求められています。なお、2023年は出題されなかった字数制限のある文章記述が1問出されました。
2 公民総合
ジェンダーの視点から見た日本政治の問題点と2023年の通常国会に関する文章を題材とした公民の総合問題でした。標準的な問題が目立ち、特に選挙制度や国会・内閣のしくみに関する正確な理解が求められました。文章記述は衆議院の優越に関する典型的なものと、求人における男女平等に関するもので、例年と比べても答えやすい内容でした。
3 地理総合
日本などで開催されたバスケットボールのワールドカップに関する文章をテーマとした地理の総合問題でした。13問中11問は世界地理からの出題であり、日本地理からの出題は最後の2問のみでした。近年は、世界地理の比重が高いものの、2019年や2020年のように日本地理中心の出題もみられるので注意が必要です。かつては難問が目立っていましたが、2024年は高校入試に向けた問題演習を着実に積み上げていた受験生にとっては標準的な難度に感じられたと思われます。