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早稲田大学本庄高等学院 2024年出題傾向リサーチ

出題傾向リサーチ

英語

 適語句選択:小問数10

短い英文の空所に適する語句を選び、記号で答える形式です。例年、幅広い文法単元の知識が問われるところですが、2024年は熟語を扱ったものが目立ちます。各熟語の意味を知っていることが前提となることは言うまでもありませんが、なかでも[2]や[3]は、熟語で使われている副詞や前置詞のイメージをしっかり持つことが重要です。ほかにも、[1]では時制、[7]では関係代名詞に関して、細かな知識が問われています。

 説明文の読解(約690語):小問数23

色を表す言葉を含む英語の慣用表現に関する説明文です。それぞれの色にどのようなイメージがあるのか、丁寧に整理しつつ読む必要があります。本文のタイトルとして適切なものを選ぶ問3[8]は、一見するとどれも包括的な内容に思えない選択肢ですが、筆者が言わんとしていることを正確に捉えて、慣用表現の意味と結びつけると答えが見えてくるといった、深い読解力を測るものです。問3[11]の英文和訳にも慣用表現が登場していて、その意味を文脈から類推して和訳する必要がありました。

 対話文の読解(約550語):小問数14

入院患者の少年と医師との対話文です。大問Ⅱと比較すると各選択肢の違いを把握しやすく、素早く解ききりたい大問ですが、難度の高い記述問題が3つあり、解答するために思いのほか時間を要したと思われます。問7の条件英作文には指定語があり、その使い道に迷う受験生は多かったことでしょう。この形式は、登場人物の立場に沿って英文を書くもので、早大本庄学院では例年出題されています。問8の和文英訳では、接続詞を中心とした英語の運用力が求められています。

数学

1 小問集合

問1は二次方程式、問2は式の展開、問3はデータの活用、問4は円と角度の4問構成でした。問1は係数に平方根が含まれていて難度は高めでした。問2は慎重かつ丁寧に処理していくことが必要でした。正答もきれいな数ではなかったため、不安に感じた受験生も多くいたと思われます。問3と問4はしっかり完答しておきたい問題です。

2 二次関数

交点が格子点となる放物線と直線に関する問題でした。問題の誘導が丁寧であり、放物線上の格子点の候補は多くはないので、落ち着いて冷静に取り組みたい問題でした。

3 場合の数

与えられたルールに従ってマス目に数を入れる方法について考察する問題でした。問1、問2はルール通りに当てはめて書き出していけば正答を導けます。問3は下に1段増えますが、問2までの結果を利用できるかどうかがポイントです。気づけなかったとしても数を入れる方法はそれほど多くはないので、丁寧に数え上げて1問でも多く正解したいところです。

4 空間図形

3つの辺が互いに垂直である三角錐についての問題でした。図は与えられていませんが比較的描きやすい立体で、いずれの小問も必要な平面を取り出すことができれば対応できたと思われます。問3は正答がきれいな数ではないため、自信が持てなかった受験生もいたと思われます。

国語

1 大澤真幸『ナショナリズムとグローバリズム』

「ネイション(国民)」という意識と、小説という文学形式とが同じ時期に成立したことの必然性について述べた論説文からの出題です。全体としては硬質な文章ですが、具体例も多く盛り込まれていたので、筆者の主張を掴むのは難しくありません。抜き出しは多い字数を数える必要があったものの、設問指示を慎重にとらえれば、確信を持って解答できるものでした。空欄補充2問のうち、1問は慣用表現の知識を試されるもの、1問は文章内容の理解を試されるもので、いずれも正解したいところでした。制限字数80字以内の記述は、傍線部とは「どういうことか」という換言説明が求められていて、ここで差がついたと考えられます。

2 松浦寿輝『巴』

主人公と重鎮の書家とのやり取りを描いた小説文からの出題です。抜き出し2問は、それぞれ2字と11字という明確な指定字数があり、設問の意図もはっきりしていたので、比較的短時間で処理できるものでした。制限字数40字以内の記述も、対比を意識したうえで「本文中の語句を用いて」という指示に従えば、書くべき内容に困ることはありません。計4問出された空欄補充のうち、3問はことわざに絡むもので正解しやすかったと考えられますが、書家の心情を答える1問は悩んだ受験生も多かったことでしょう。一方、大問1・2で1問ずつ出されている記号選択は、本文における根拠が明確だったので、得点につなげやすいものでした。大問1と合わせて10問出された漢字の書き取りと読み取りも、ほとんどが標準的な難度だったので、総じて高得点勝負になったと思われます。