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東京都立高等学校(共通問題) 2024年出題傾向リサーチ

出題傾向リサーチ

英語

1 リスニング問題:小問数5

問題A、Bの二部に分かれています。Aは対話文と質問を聞き、与えられた選択肢から答えを選ぶ問題が3つ、Bは動物園の来園者に向けた説明と質問を聞き、適切な答えを選ぶ問題と英語で答えを記述する問題が1つずつという出題です。

2 図表の読みとり(約510語):小問数4

大問2は三部構成でした。1と2は与えられた図表を元に、対話文中の空所に補う語句を選ぶ問題です。1は日本人の高校生と留学生、2は留学生の両親も加えた4名の対話文です。3は帰国した留学生からのメールの内容と一致する選択肢を答える問題と、それに対する返信の一部を3文で書く問題です。メールの英文がやや難化したものの、大問全体としては不要な失点は避けたいところです。

3 対話文の読解(約630語):小問数7

3人の中学生とアメリカからの留学生の対話文です。委員会の活動を通して学んだことについての対話です。ほとんどの問題は指示語や代名詞の指す内容を捉えていくことで解答できますが、broadcastingやfocusなど、読み慣れていない単語が脚注なしで使われています。日記の一部を補う問7は、使われている語が2023年よりも平易になり、2022年以前の難易度に戻った印象です。

4 物語文の読解(約650語):小問数7

ニュージーランドにホームステイに行った主人公が現地での経験を通して、自分の学びについて決意を新たにする物語文です。人物名を混同しないよう、人物ごとに異なった印をつけるといった工夫をしながら読むことが有効です。問3と問4は本文の内容についての英語の質問に対する答えを選ぶ形式です。本文中に該当箇所と分かるような下線部がないため、段落を1つ読み終えるごとに問題を解くといった工夫をすることで正解しやすくなります。

数学

1 小問集合

〔問1〕から〔問6〕までは計算問題、〔問7〕は箱ひげ図、〔問8〕は円と角度、〔問9〕は作図の9問からなる小問集合でした。箱ひげ図は初めての出題ですが、内容は基本的です。いずれも例年通りの難度でした。

2 文章題

例年通り、『先生が示した問題』をもとにして生徒が問題を作ったという設定でした。平行移動した図形の面積を調べる問題で、〔問1〕は条件を正しく理解すれば難しくありません。〔問2〕の証明問題も線分の長さを文字で表すことさえできれば立式自体はしやすかったと思われますので、丁寧に記述したいところです。

3 二次関数

放物線上の点によってできる直線や図形の面積についての問題でした。〔問1〕〔問2〕は、東京都立校では頻出の問題なので、確実に正解したいところです。〔問3〕は座標を文字で表し、面積について立式する過程がやや複雑だったため、少し戸惑った受検生もいたことでしょう。

4 平面図形

長方形の辺上の点を結んでできる図形についての問題でした。〔問1〕の角度、〔問2〕①の証明問題は、例年通りの難度なので落ち着いて対応したいところです。〔問2〕②は、複数の相似に注目し、やや複雑な比を処理する必要があるため、ミスなく解き進められたかどうかで差がついたことでしょう。

5 空間図形

三角柱の辺上の点と頂点を結んでできる図形についての問題でした。〔問1〕は平面と直線の位置関係を正しく把握する必要がありました。〔問2〕の立体の体積は、底面と高さの把握が必要ですが、例年と比べて比較的捉えやすかったので対応できた受検生も多かったと思われます。

国語

1 漢字の読み取り

例年通り、漢字の読み取りが5問出されています。いずれも標準レベルです。

2 漢字の書き取り

書き取りも例年通り5問です。受検生にとって身近な語句を中心に問われています。

3 辻村深月『この夏の星を見る』

天文部に所属している茨城県の高校生たちが、長崎や東京の中高生と協力して観測会を行う様子を描いた小説文からの出題です。受検生に近い年代の少年少女の視点で描かれているため、読み取りやすい文章でした。5問すべてが記号選択で、登場人物の心情の理解に関するものです。いずれの設問でも、傍線部前後を丁寧に読み取る力が要求されました。

4 長谷川眞理子『進化的人間考』

社会的な共同作業の基盤となる、人間の認知能力について解説した文章です。具体例や対比構造をヒントにしながら、丁寧に筆者の主張を読み取ることが求められました。記号選択4問では、大問3と同じく、消去法ではなくきちんと文中の根拠をもとに解答を選ぶ必要があります。ただし、ややまぎらわしい選択肢が含まれる設問もあったため、より注意が必要でした。例年同様、制限字数200字以内の作文も課されています。

5 久保田淳・俵万智の対談/馬場あき子の文章/高橋和彦の文章

和歌についての対談と、対談内で登場する古典作品についての論説文、その作品の原文と口語訳という構成でした。複数の文章が出題されていますが、読解問題は対談の内容に関するものが中心です。記号選択5問の構成は過去の入試問題と大きく変わるものではなく、手早く解き終えたい大問である点も例年と同様です。

理科

1 小問集合(物理・化学・生物・地学)

出題形式は例年の傾向通りで、各分野の基礎知識や基本的な計算について確認する問題でした。解きやすい設問のみで構成されていて、2022年以前のような解きにくい設問は見られませんでした。

2 小問集合(物理・化学・生物・地学)

出題形式は例年通りで、各分野から1問ずつ、レポートを読んで考える問題でした。問2は、公立校の入試ではあまり見られない題材に関する計算問題で、条件を正しく読み取ることが求められました。その他の設問は基礎レベルでした。いずれの設問も文章が長く、必要な情報を的確に読み取ることが求められました。

3 天体(地学)

太陽の見え方に関する典型問題でした。問1~3は確実に正解したい内容でした。問4は、受検生が勘違いしやすい観点を取り上げていて、ミスしやすい問題でした。

4 植物(生物)

植物を用いた実験を題材として、基礎知識を確認する問題でした。東京都立校の生物分野の大問では、結果から分かることを答える問題が頻出です。2024年の結果から考察する問題は、ミスをしにくく差がつきにくい内容でした。

5 イオン、物質の特徴(化学)

イオンと溶解度に関する問題でした。問2は適切な棒グラフを選択する形式の問題で、3年連続で出されています。また、問3は文章記述の問題で、大問3の問2と合わせて全体で2問でした。文章記述が2問出たのは、2020年以来です。

6 運動とエネルギー、力(物理)

運動とエネルギーの単元から、幅広く理解度を測る問題でした。計算問題や実験結果から考察する問題は、ややミスをしやすいつくりで、丁寧な対応が求められました。問2は、2024年の問題で唯一の完答形式でした。

社会

1 小問集合

地形図の読み取り、歴史用語・公民用語の選択問題という例年通りの出題でした。地形図から道順を並べ替える問題は、類似した選択肢が含まれていたため、地形図と精密に比較する必要がありました。

2 世界地理

雨温図の選択、国の特色の選択、資料・統計の読み取りという例年通りの出題でした。雨温図の選択は、与えられた文章から出題意図を正確に読み取る必要がありました。

3 日本地理

都道府県の特定、統計の読み取り、資料の読み取りによる記述問題という例年通りの出題でした。例年に比べて平易であり、落ち着いて解けば正答にたどり着けたと思われます。

4 歴史

前近代の年代整序、資料の読み取りによる記述、年表上の年代整序、近現代の年代整序が出題されました。年代整序が3問出題されたため、正確な知識を持ち、その知識を的確に運用できたかどうかで、得点に大きく差がついたと思われます。

5 公民

基本的人権、グラフの読み取り、時期の特定、資料の読み取りによる記述問題が出されました。例年に比べて平易な出題が目立ちました。

6 総合

国の特定、時期の特定、グラフの読み取りが出題されました。グラフの読み取りは条件に合わせて数値を正確に読み取る必要がありました。