問題5(場合の数)※サピックスチャレンジテスト(新中3)より
オリジナル問題
太郎君と花子さんは,友人4人と合計6人でプレゼント交換会を企画している。以下の会話文は,各自が用意したプレゼントを「誰も自分のプレゼントが手元に残らないように交換する」方法が何通りあるのかについて,太郎君と花子さんが話し合っているものの一部である。
花子:「数えるのは大変そうね。ひとまず4人のときや5人のときから考えて,その中で計算方法を見つけていきましょうか。」
太郎:「うん。まずは4人の場合から。これは樹形図でも数えやすいね。とりあえず答えは【ア】通りになるかな。」
花子:「そうだね。じゃあ,それを計算で求める方法を考えてみましょう。実際にプレゼント交換をする場合,どう交換すればよさそう?」
太郎:「例えば4人をA~Dとすると,このように輪になってAのプレゼントをBに,BのプレゼントをCに,CのプレゼントをDに,DのプレゼントをAに,って感じに,『輪になって各々が右隣の人に渡す』のはどうかな?」
花子:「うん,いいね。この場合,4人が輪になるような並べ方が何通りになるか考えればよさそうね。」
太郎:「この並べ方って,誰か1人から見える他3人の位置が変われば別の並べ方とみなせるから,Aの右隣,正面,左隣に来る人が何通りかをそれぞれ考えればいいよね。Aの右隣に来る人は【イ】通り,正面は【ウ】通り,左隣は【エ】通りだから,この交換の仕方は【オ】通り。あれ?【ア】通りにならないよ。」
花子:「待って。別に輪にならなくても,4人をいくつかのグループに分けて,その中で交換してもいいよね。例えばこんな感じに (A,B) と (C,D) に『組分け』して,AとBのプレゼントを交換して,CとDのプレゼントを交換するって形ね。」
太郎:「あ,確かに。今回の場合は2人,2人の組分けだけ考えればいいかな。4人を2人,2人に分ける場合の数は,4人から1つ目の組にする2人を選べば,残りの2人がそのまま2組目になれるわけだから,6通りでいいのかな。」
花子:「いえ,それだと例えば,『①最初にA,Bを選んだ場合』と『②最初にC,Dを選んだ場合』が結局同じ分け方になって重複しちゃうよね。①と②は組のできる順番を並び替えただけでしょ。他の選び方についても同様のことが言えるから,要するに各組の人数が同じ場合には,『組の並び替え方の分だけ重複が発生する』んじゃないかしら。」
太郎:「そうか。組の並び替え方は2通りだから,組分けの場合の数は6÷2=3通りになって,それぞれの交換の仕方が1通りずつだから,この方法での交換は3×1×1=3通り。だから,合計で【ア】通りになるんだ!」
花子:「うん,答えと一致したね。この考え方を使えば,他の人数でも計算で求められそうね。試しに5人の場合でもやってみましょう。」
次の各問いに答えよ。
(1) 会話文中の【ア】~【オ】に入る数値をそれぞれ求めよ。
(2) 以下の会話文は,太郎君と花子さんの先ほどの会話の続きで,「5人が各々用意したプレゼントを,誰も自分のプレゼントが手元に残らないように交換する」場合の数を話し合っているものの一部である。会話文中の【カ】~【コ】に入る数値を求めよ。
花子:「まず,『輪になって各々が右隣の人に渡す』やり方を方法Ⅰとすると,この場合は【カ】通りね。」
太郎:「うん,じゃあ次は『組分けする』やり方だね。これを方法Ⅱとすると,今回は2人組と3人組に分けることになるから,その分け方は【キ】通り。それぞれの組での交換の仕方は,2人組の方は互いに渡し合うだけだから1通りだけど,3人組の方はどうなるんだろう?」
花子:「その3人で方法Ⅰを使えばいいのよ。だから3人組の交換の仕方は【ク】通りね。」
太郎:「なるほど!ということは方法Ⅱでの交換は【ケ】通り。だから,合計して【コ】通りかな。」
花子:「うん,あってる!じゃあ,6人の場合も計算してみましょう!」
(3) 6人が各々用意したプレゼントを,誰も自分のプレゼントが手元に残らないように交換する場合の数は何通りか求めよ。
作問者からのメッセージ
プレゼント交換の場合の数に代表される「完全順列(攪乱順列)」について,樹形図で書きだす以外のアプローチの一つを示した問題になります。場合の数は,問題の捉え方次第でさまざまなアプローチが考えられます。プレゼント交換を「床に置いたものの中から1人ずつ取っていく」と捉えるか,「手渡しで誰かと交換していく」と捉えるかで発想が変わります。この問題では「樹形図以外のアプローチを学ぶ」ことに加え,場合の数の基本である「積の法則・和の法則の使い分け」,「重複の可否の判断」などといった事項の確認もできますので,ぜひ,チャレンジしてください。
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