埼玉県公立高等学校 2023年出題傾向リサーチ
出題傾向リサーチ
英語
1 リスニング問題:小問数11
例年通り、No.1~No.3は短い会話を聞いて、質問の答えとなるイラストや図を選ぶ問題、No.4~No.5はそれぞれ放送された英文に関する質問の答えを選ぶ問題、No.6はスピーチの内容に関する3つの質問の答えを選ぶ問題、No.7は放送された会話に関する質問の解答になるよう、与えられた英文の空所を補う問題です。放送は2回ずつ流されます。内容は学校選択問題と同じですが、No.7の記述問題は問いに異なる部分があり、また放送ごとのリード文が学力検査問題では問題用紙に印刷されています。
2 適語補充:小問数5
日本語のメモをもとに、英語で書かれたメールの空所にあてはまる語を答える問題と、そのメールに対しての返信を3文以上で書く条件英作文が出題されました。
3 エッセイの読解(約250語):小問数5
アイルランドのある祝日についてのエッセイです。与えられた英文を本文中のどこに補うべきかを選択する問題や、並べかえ英作文、適語補充、内容一致などが出されています。問3では仮定法の知識が求められました。
4 対話文の読解(約860語):小問数7
中学生が社会科見学で訪れるべき場所についての対話文です。文章が4つのセクションに分かれています。2022年に出題された条件英作文はなくなりました。表の空所に入る金額を答える問3は、本文の条件をもとに計算して答えを出す必要がありました。
5 スピーチの読解(約210語):小問数3
ALTの先生によるスピーチ文を読んで答える問題です。条件に従って3文以上の英文を書く問3は、「本と映画のどちらで物語を楽しむのが好きか」というテーマでした。
数学
1 小問集合
2020年から引き続き、16問の小問集合でした。(16)は与えられたヒストグラムに対応する箱ひげ図を選ぶ問題でした。選ばなかった箱ひげ図が対応していない理由を説明する設定だったので、少し困惑した受検生もいたことと思われます。ただ、どの小問も基本的な内容であったため、ミスなく確実に得点を重ねたい大問でした。
2 小問集合
(1)作図、(2)2桁の自然数の性質についての説明の2問構成でした。(1)は理科の天体と関連させた作図の問題で、解法に戸惑った受検生も多かったと思われます。(2)は2桁の自然数に関する有名な性質を説明する問題だったので、類題を解いた経験もあったことでしょう。
3 有限小数と無限小数
分子を1とする分数が有限小数になるのか、無限小数になるのかについて考察する問題でした。(2)で、規則性に気づくことができれば、完答も目指せた大問でした。
4 空間図形
直方体の辺上を動く点について考察する問題でした。(1)は典型問題なので、確実に得点したいところです。(2)は二等辺三角形となることの証明問題でしたが、注目すべき図形が分かれば対応できたことでしょう。(3)は直方体を1つの平面で切断したときにできる立体の表面積を求める問題でした。問題文から状況を把握することも容易なので、ケアレスミスに注意して得点したい問題と言えます。
国語
1 逸木裕『風を彩る怪物』
音楽大学の受験を控え、自分の演奏に悩みを抱えている主人公を描いた小説文でした。主人公の心情が問われている記号選択がありますが、主人公の視点で描かれた文章なので心情の把握はしやすいと言えます。また、例年通り字数制限のある記述も出されましたが、傍線部の前後を丁寧に読んでいけば対処できます。
2 漢字の読み取り・書き取り・知識・会話文
漢字と文法の知識は標準的な難度でした。俳句に関する問題では有名な句が取り上げられています。対話文形式の問題ではインタビューのやりとりと資料をもとに質問文を推測する記述が出されました。
3 川瀬和也の文章
身近にあるものを例にとり、そのものに含まれる性質について述べた論説文です。抽象的なテーマのため読みづらさを感じたかもしれませんが、設問は標準的な難度でした。空欄補充形式の記述では、指定語句を手がかりにして傍線部付近を丁寧に読み解答をまとめる必要があります。
4 『浮世物語』
江戸時代に成立した仮名草子からの出題で、自慢をする人の愚かさについて述べたものでした。適切な箇所を抜き出して短い対話文を完成させる問題は、設問中のヒントを的確に把握する必要があります。
5 条件作文
インターネットの利用に関する資料を読み取り、自分の考えを述べるという問題でした。資料自体は読み取りやすいものでしたが、適切な具体例をもとに自分の考えをまとめられたかどうかで点差がついたと思われます。
理科
1 小問集合(物理・化学・生物・地学)
例年と同じく、物理・化学・生物・地学の4分野からそれぞれ2問ずつ出されました。いずれも基礎的な問題で、取りこぼしは最小限に抑えたいところです。
2 天気(地学)
問1~問4は天気についての基本事項を確認する問題、問5は資料を読み取って答える問題でした。記述問題2問のうち、問5は偏西風についての問題で、見慣れない内容でした。
3 植物、遺伝(生物)
エンドウの分類と遺伝に関する問題でした。問2はやや珍しい題材の記述問題ですが、図をもとに花の構造を読み取ることで答えられたと思われます。問1は植物の分類の知識問題、問3以降は遺伝の典型問題です。
4 化学変化(化学)
還元反応をテーマとした問題でした。典型的な問題が多いため、ほかの大問に比べて解きやすかったものと思われます。問4(2)はやや難度が高い内容で、類題の演習を重ねていた受検生が有利だったと考えられます。
5 光(物理)
光の反射と凸レンズに関する問題でした。問4までの内容は基礎的ですが、実験結果の書き方がやや見慣れない形式であったため、戸惑った受検生も多かったものと思われます。問5はほとんどの受検生にとって初めて見る内容でしたが、図と文章をヒントに丁寧に読み取ることで、解答できたと思われます。
社会
1 世界地理
世界地理の総合問題でした。例年通り、基本的なレベルの問題が中心で、演習をしっかり積んでいれば十分に対応できました。
2 日本地理
日本地理の総合問題でした。ほかの高校の入試問題でもよく見られる統計を用いたものがほとんどでした。例年出題される地形図の読み取りが2023年も出されたため、入試問題の傾向を理解していることが重要でした。
3 日本史(古代~近世)
例年通り、5つの異なる時代を説明した文章を題材とした大問でした。正誤問題、語句記述、資料を使用した記述問題など出題形式はさまざまでしたが、難度は標準的なものでした。
4 日本史(近代~現代)
近現代史の年表をもとに、近現代の年表と同じ時代の出来事や様子を答える問題が多く出されました。細かい西暦年が分からなくても、歴史の流れや因果関係を把握していれば正答できるものがほとんどでした。
5 公民
「公民的分野における学習のまとめ」という調べ学習をテーマとした出題でした。正しいものをすべて選ぶ問題は、形式上、正答率が低くなることが予想されますが、選択肢を丁寧に検討することで、対応できる難度でした。
6 総合
地理・歴史・公民の3分野からまんべんなく出題される傾向は例年通りでした。2022年と同様に複合的なグラフの読み取りが必要な問題がありましたが、難度は標準的でした。