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開成高等学校 2023年出題傾向リサーチ(数学解答速報も公開中)

出題傾向リサーチ

英語

1 エッセイの読解(約700語):小問数14

愛犬との絆を通して筆者が感じた、犬の持つ不思議な魅力について述べたエッセイです。多くの問題で難度の高い表現を問われていますが、ほぼ文脈理解で解答を導くことができるので、焦らずに視野を広く持って考えることが必要です。また、近年見られなかった不定詞の用法の識別が問われていて、偏りのない学習が求められています。

2 説明文の読解(約520語):小問数14

幼児の言語習得に関する説明文です。言語習得に必要な環境といった細かい情報を短時間で的確に捉えていく必要があります。問6は代名詞の内容に関する特徴的な出題で、比較構文の構造や省略に注目する必要のある問題でした。

3 正誤:小問数2

文法、語法上誤りがないものを複数の文から2つ選ぶ形式です。選択肢のなかには間違えやすいものが2つ含まれていて、満点を取るのは難しかったと思われます。

4 共通語補充:小問数4

開成高では頻出である、各組の英文の空所に入る同じつづりの語を答える問題です。意外な意味を持つ単語を問うものもあり、悩んだ受験生も多かったと思われます。

5 同意文完成:小問数4

各組の英文が同じ意味になるように、空所に入る適切な語を答える問題です。基本的な問題が多く、満点を目指したいところです。

6 リスニング問題 :小問数12

Part AからCまでそれぞれまとまった英文を聞き、問題用紙に書かれた質問に対して答える形式です。Part Bでカレンダーと組み合わせた問題が出されています。非英語圏出身と思われる話者の発音が含まれているのも開成高の近年の特徴です。

数学

1 場合の数

取り出した2枚のカードに書かれた数の積についての問題でした。全体の場合の数も多くないので取り組みやすく、漏れなく正確に数えられたかどうかで差がついたと思われます。

2 三角形の内接円

角の二等分線で分けられた三角形に内接する円の問題でした。(1)は見慣れないアプローチでの証明だったため、戸惑った受験生も多かったことでしょう。(2)は解法に悩むことはないと思われますので、計算ミスに注意して確実に正解したい問題でした。

3 整数

互いに異なる自然数について、すべての数の和とすべての数の積が等しくなる場合を考察する問題でした。(1)の穴埋めは、問題文の流れに沿って正しく読んでいけば、対応しやすかったと思われます。一方、(2)は難度が高く、時間内に正解できた受験生は多くなかったでしょう。

4 空間図形

立方体と、その対角線に直交する平面についての問題でした。開成高の受験生であれば、いずれの小問も類題を解いたことがあったものと思われます。ミスに注意して時間をかけずに完答したいところです。


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国語

1 宮野真生子の文章

ガンを患っている哲学者が人類学者と交わした往復書簡の一部からの出題でした。人生の偶然性や他者との出会いについて論じた抽象度の高い内容で、粘り強く丁寧に読解することが求められます。2021年、2022年の論説文と同様に、記述問題に字数制限がありました。字数は60字、40字、50字といずれも短めで、問われている内容を簡潔にまとめる必要があります。漢字の書き取りが5問出されましたが、いずれも標準的な難度のもので、開成高受験者としては失点は避けたいところです。

2 正宗白鳥『吉日』

筆者が考える「吉日」とはどのようなものかについて述べた随筆文からの出題でした。昭和初期に書かれた文章で、やや古い言葉が散見されるものの、内容は具体的かつ現代にも通じるもので、それほど読みにくさは感じません。設問は、字数制限のない解答欄1行半の記述が2問でした。充実した解答にするためには、傍線部のすぐ近くの内容だけでなく、文章全体の内容をふまえて解答する必要がありました。

3 『今昔物語集』

瓜を運んでいた一行が不思議な力を持つ翁に出会い、思わぬ目に遭わされるという内容の説話文からの出題でした。例年同様、難しい古語には部分訳が付けられているため、内容を掴むのに苦労することは少なかったと思われます。設問はすべて字数制限のない記述で、2022年同様、古文の知識や口語訳、記号選択などは出されませんでした。いずれも解答欄は1行程度で、正確に読解して解答を簡潔にまとめる必要があります。

理科

1 化学変化(化学)

問1~4は典型的な化学実験に関連して、基本的な知識を確認する問題でした。問5、6は、質量に関する計算問題で、難関校でよく見られる形式でした。開成高の化学分野の出題は、典型的な題材に関する基礎レベル中心のこともあれば、中学生が初めて見るような題材に関する標準レベル中心のこともあり、年度によって異なります。2023年は基礎レベルの解きやすい設問が多く、差がつきにくかったと考えられます。

2 岩石、火山、天気、天体(地学)

前半は岩石、火山、天気に関する基礎知識を確認する問題、後半は天体の見え方に関する基礎~標準レベルの問題でした。地学分野の各単元から幅広く出題する形式は、近年の傾向に沿ったものでした。見慣れた設問が多いので、図を描くなどして問題設定を丁寧に読み取り、ミスを最小限に抑えたい内容でした。

3 水圧(物理)

国立大附属校や私立の難関校でときおり見られる題材について、標準~応用レベルの問題でした。大気圧や水圧についての深い理解が求められるうえに、条件を取り違えやすいことから、解きにくいつくりになっています。受験生が苦手としやすい単元からの出題ということもあり、全体的に実力差が得点差につながりやすい内容だったと言えます。

4 人体(生物)

問1、問2、問4(2)は基礎知識を確認する問題でした。そのほかは文章や表の内容を読み取って考える問題で、開成高の入試問題でよく見られる形式でした。難易度は基礎~標準レベルで、条件や選択肢を丁寧に分析することが求められました。

社会

1 歴史総合

三浦半島を題材に古代から近代までの日本史と17~19世紀の世界史から出題されました。記号問題は正誤判断や年代順に並べ替えるものがバランスよく出されました。人名や用語を解答するものはすべて漢字指定で、用語の難度は頻出のものから難関校でもほとんど出題例がないものまでさまざまでした。ほかと比較しても得点しやすい大問であったので、用語の記述で漢字のミスなく、確実に得点することが重要でした。

2 地理総合

日本と世界の湖沼を題材に出題されました。グラフや図法の読み取りを中心とする例年の傾向とは異なり、地形の理解度を測るものが目立ちました。関連する問題がヒントとなる一方で、一つの解答が特定できないと、連鎖的に失点してしまうものもあり、日本地理・世界地理ともに主要な地形に関する知識が整理されていることが必要でした。加えて、粘り強くヒントを探す姿勢がなければ得点を積み重ねることは難しい大問でした。

3 公民総合

コロナ禍が世界・国内に与えた影響に関する文を題材に出題されました。人権・選挙・価格・労働・環境問題など幅広い分野から問われました。読解力を求められる形式は2022年と比較すれば易しくなったものの引き続き出題されました。ほかにも英字の略称の意味を問うものや、需要供給曲線に関するものなど過去に例のある出題形式が散見されました。過去の入試問題で演習を積み、開成高の出題傾向を十分に理解しておく必要がありました。