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開成高等学校 2024年入試【数学】問題・解答

出題傾向リサーチ

2024/2/10(土)に実施された開成高校の入試について、数学の問題と解答を掲載しています。

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【参考】開成高等学校 2024年出題傾向リサーチ

英語

1 物語文の読解(約590語):小問数8

見知らぬ店を訪れたことから起こった奇妙な出来事を描いた物語です。解きやすそうに思える問題が複数ありますが、問3のような注意を要する設問もあり、実際には差がついたと思われます。

2 エッセイの読解(約610語):小問数8

母親の忙しい日常をMother’s Tennisというスポーツを通してコミカルに描いたエッセイです。大まかに内容を掴む必要がある問1や、代名詞の指すものを明確にして和訳する問2などで内容面の理解を問う一方、問6では開成高で頻出の、細かい文法知識が必要な並べかえ英作文が出されました。

3 語彙:小問数5

英語で書かれた定義に当てはまる英単語を答える問題です。中学範囲のレベルを超えた語彙が求められました。

4 発音・適語補充:小問数5

readとgreatの”ea”ように「発音は異なるが、綴りは同じの、連続する母音字2文字を含む語」を対話文中の空所に入れる問題です。珍しい形式でしたが、落ち着いて文中からヒントを探せたかどうかが鍵でした。

5 同意文完成:小問数5

各組の英文が同じ意味になるように、空所に入る適切な語を答える問題です。標準レベルの問題のなかに注意が必要な問題が混ざっているのも、開成高の問題における特徴の一つです。

6 リスニング問題 :小問数11

2023年同様、Part AからCまでそれぞれまとまった英文を聞き、問題用紙に書かれた質問に対して答える形式です。多くの問題で数字に関する細かい聞き取りが要求され、聞きながら情報を整理する必要があります。非英語圏出身と思われる話者による音声が2024年も用いられました。

数学

1 二次関数、証明

[A]、[B]というテーマの異なる2題で構成された大問でした。あまり経験したことがない出題形式だったため、戸惑った受験生もいたかもしれません。

[A]は放物線と直線上に頂点をもつ正方形について考える問題でした。(3)は解法自体に悩むことはないものの、正答がきれいな数ではないため、不安に感じた受験生もいたことでしょう。

[B]は三角形の垂心に関する証明問題でした。この証明自体を経験したことがある受験生も多くいたと思われます。穴埋め形式でもあったので、しっかり対応したい問題でした。

2 整数と場合の数

「拡張4の倍数」という設定にあてはまる数について考察する問題でした。小問が全部で9問あり、細かく場合分けされた状況についてそれぞれ考えていく形式です。問題の設定をしっかり把握し、丁寧に解き進めていきたいところです。この大問は解法の記述は求められていない(答えのみを記す形式)ため、1問1問をより一層注意深く、正確に解き進める必要がありました。

3 正四面体と外接球

正四面体および正四面体の角を切り落としてできる立体の外接球の半径を求める問題でした。類題演習の経験がある受験生も多くいたと思われます。計算ミスに注意して、確実に正解したい問題でした。

国語

1 國分功一郎『目的への抵抗』

哲学者である筆者がコロナ禍において抱いた危機感について述べられた論説文でした。中心となるキーワードはよく耳にするものでしたが、政治哲学者ハンナ・アーレントの著作からの引用箇所も多く、全体的に読み取りにくさのある大問だったと言えます。読み取りに時間がかかるぶん、時間配分には十分に注意が必要です。ここ数年でスタンダードになりつつある字数制限のある記述が3問出されました。傍線部の換言説明や理由説明に関する問いが中心で、いずれも点差のつきやすいものでした。それぞれの制限字数に合わせて、何をどこまで書くかを的確に判断しながら記述する必要があります。

2 岩城けい『M』

多様性をテーマにした小説文からの出題でした。文章は長いものの会話文が中心なので読み取りに時間はかかりません。例年通り、字数制限のない記述が3問出されています。登場人物の振る舞いを一般化してまとめるもの、傍線部のニュアンスを活かした換言説明が必要なもの、一見対照的に描かれている登場人物の共通点の発見が求められるものなど、設問意図を正しく読み取ったうえで解答する必要がありました。漢字の書き取りが4問出されていましたが、いずれも標準的な難度でした。

3 『遠思楼詩鈔』

江戸時代の儒学者による漢詩からの出題でした。漢詩・漢文に関する出題は2015年以来です。書き下し文が併記され、注釈も多めなので、読み取りに時間はかかりません。古文・漢文の知識が4問、作者の主張をまとめる字数制限のない記述が1問出されています。いずれも標準的な難度で、高得点勝負になったと予想されます。

理科

1 中和(化学)

問1~3は中和に関連した基礎知識を確認する問題で、取りこぼしを避けたい内容でした。問4~7は現象の理解や計算を求められる問題で、基礎~標準レベルの内容でした。開成高を目指して準備を進めてきた受験生にとって見慣れた内容が多く、短時間で確実に正解したい大問でした。

2 細胞、生殖、遺伝(生物)

問1は細胞に関する大きな数値を処理する計算問題、問5は遺伝に関するやや深い理解が求められる問題で、その他は生殖に関する基礎知識を確認する問題でした。問1、問5は、同様のテーマについて理由を含めて考えたことがあるかどうかがポイントでした。受験生の学習に対する姿勢が問われる内容だと言えます。

3 天体(地学)

惑星に関する文章を読んでその場で考察する大問です。典型問題だけでなく、あまり見られない観点からの出題もありました。一つのテーマに対して多角的に検討する力が問われる内容で、掘り下げた学習をしてきたかどうかで得点差がついたことでしょう。

4 電流(物理)

電流に関する計算問題で、電圧や電流に関する深い理解、複雑な回路を整理する思考力、与えられた情報を適切に処理する分析力といった、多彩な力が求められました。応用レベルの問題が多く、理解度の差がそのまま得点差につながったと思われます。一方で、基本事項を深く理解していれば簡潔な計算で答えにたどり着ける内容でもありました。物理分野の応用問題は、基本事項の理解の深さが決め手になります。開成高校の受験を考えている人は、学習方針のヒントにするとよいでしょう。

社会

1 世界地理・現代史総合

ウクライナ情勢とNATOが果たす役割を題材とした大問でした。旧ソ連や東欧に関しては、受験生の対策が手薄になる範囲で、多くの受験生が苦戦したと思われます。また、ウクライナ情勢やNATOに関するニュースでよく目にする地形や用語が解答となるものもあり、こうした問題で時事への関心の高さが試されていました。例年出される統計資料の問題は標準的なものだったので、ここでの失点は避けなければなりません。

2 歴史総合

将棋の歴史を題材とした日本史・世界史の総合問題でした。大問1で現代史をテーマとしていることもあり、この大問では日本史・世界史ともに古代・中世を中心に出題されました。日本史は空欄補充や語句記述の形式が中心であり、その多くが開成高では頻出のものだったので、過去の入試問題で対策していた受験生にとっては容易に得点できるものでした。世界史は日本史と比べればやや難度が高く、適切な選択肢をすべて答える形式のような、慎重に吟味しなければ失点してしまうものもありました。

3 公民総合

起業を題材とした政治・経済の総合問題でした。語句を記述する問題は、教科書の索引に掲載されている基本的な語句が整理されていれば得点できるものがほとんどでした。正誤形式の問題は適切なものを選ぶ形式が多く、正確な知識で選択肢を絞り込んでいく必要があり、ここでしっかりと得点できるかどうかがポイントです。記述問題は定期的に出題される読解力と社会問題への関心の高さが問われるもので、出題の意図を汲み取り、落ち着いて考えることができれば対応できるものでした。