慶應義塾高等学校 2024年出題傾向リサーチ
出題傾向リサーチ
英語
Ⅰ 空所補充選択(約350語):小問数10
エッセイの空所に当てはまる語句を選択する問題です。文法や語彙のみならず内容についての問題もあり、丁寧に理解しながら読み進める必要がありました。大問ⅠとⅡでは文法・語法が問われていますが、どちらも長文内での出題で、文法のみの大問はありませんでした。
Ⅱ 誤文訂正(約300語):小問数10
説明文中に引かれた下線部から誤っている箇所を選び、正しい形に直す問題です。例年は10個の短文ごとに問題が設定されていましたが、2024年は1つの長文にまとめられていました。4つの下線部から誤りを選ぶ形式は変わらないので、冷静に分析して得点したい大問です。
Ⅲ 対話文の読解(約260語):小問数10
慶應義塾高で例年出されている、文中の空所に当てはまる単語を答える問題で、2023年と同様、補う語の頭文字または最後の文字が与えられています。英文は建物の高さの測り方についての対話文でした。問題ごとの難度の差が大きく、難問に考え込みすぎずに次の問題へ進みたいところです。
Ⅳ 物語文の読解(約1210語):小問数16
幸福の感じ方についての示唆に富んだ物語文です。難解な文構造は少ないものの、文章の流れを読み取りにくい部分もあり、内容をすべて理解するのは難しかったと思われます。Aは本文の内容に関する記号選択です。4つある選択肢を2つまで絞れても、決め手に欠く難問が多く、丁寧な吟味が必要でした。Bは短い下線部の和訳ですが、文法や語彙よりも、本文の展開をもとに適切に表現する力が求められました。Cは英文記述で、登場人物の発言から連想される性格を説明する問題と、本文に続く結末を考えて書く問題です。根拠となる部分が見つけにくく、解答を考えるのに長い時間を要したと思われます。
数学
1 小問集合
(1)二次方程式、(2)式の値、(3)平方根の計算、(4)連立方程式、(5)データの活用の5問からなる大問でした。手間のかかる問題が多いものの、丁寧に取り組み、確実に得点を重ねたい大問でした。
2 円
三角形とその外接円についての問題でした。典型問題なので解法に悩むことはなかったと思われます。短時間で完答したいところです。
3 二次関数
放物線と垂直に交わる2直線に関する問題でした。(3)は線分の長さを問うという、あまり見慣れない出題でしたが、方針に悩むことはなかったと思われます。完答すべき大問でした。
4 場合の数・確率
赤玉、青玉、白玉が2個ずつ入っている袋から玉をいくつか取り出す問題でした。(1)は確実に正解したいところです。(2)は類題を解いたことがあるかどうかで差がついたと思われます。(3)は題意の把握に時間がかかったかもしれません。
5 整数
二次不定方程式についての問題でした。典型問題で、類題を解いたことがある受験生も多かったことでしょう。条件を満たす値を丁寧に調べ上げ、完答を目指したい大問でした。
6 文章題
速さに関する文章題でした。例年と比べて平易な設定だったので、取り組みやすかったと思われます。(2)は答えがあまりきれいな数値にならないため、自信をもって解答できた受験生は少なかったことでしょう。
国語
1 伊藤雄馬『ムラブリ』
言語学者である筆者が、タイやラオスで使われるムラブリ語の感情表現について述べた文章からの出題でした。テーマには受験生にとってなじみのない言語が扱われていましたが、論旨は明快で読みにくさはありません。設問は、記号選択・記述・抜き出しと多岐にわたりました。記述は制限字数15字以内が2問、制限字数50字以内が1問の計3問です。総記述量は2023年と同程度で、それぞれ設問条件に注意して解答を作成する必要があります。一方で、本文の内容を理解したうえで感情表現を図解したものを読み解く新傾向の設問もありましたが、文章内容を丁寧に読み取ることで解答が可能なものでした。漢字の書き取り5問は例年と比べ標準的な難度のものが中心だったので、確実に得点したいところでした。
2 出口智之『森鴎外、自分を探す』
筆者が森鴎外の考えや人生観について考察した文章からの出題でした。「自分探し」や「他者理解」といった受験生にとってなじみのあるテーマであり、また難解な表現も少なく読みにくさはありません。読解問題は記述と空欄補充が中心でした。設問数は2023年と同程度でしたが、2024年は総記述量が160字と多めでした。記述は書くべき内容の判断が難しく点差がついたと思われます。解答に時間のかかりやすい設問が多かったため、時間配分が難しい大問と言えます。知識分野では、漢字の書き取り5問のほか、語句の意味・四字熟語・西暦を和暦で答えるものが出されました。慶應義塾高では、例年漢字を含めたさまざまなジャンルの知識が問われるので、しっかりと対策しておくことが必要です。