慶應義塾志木高等学校 2024年出題傾向リサーチ
出題傾向リサーチ
英語
Ⅰ 物語文の読解(約990語):小問数13
ある男が、自分が大切にしているものを泥棒に盗まれてしまうという物語文です。空所に入る英単語を答える問4では多義語の知識が問われ、空所に入る内容を3~5語の英語で書く問5では、正しい文脈理解が求められました。
Ⅱ 物語文の読解(約760語):小問数17
私立探偵である男性のオフィスに、ある一本の電話がかかってきたところから話が展開する物語文です。問7の適語補充は、解答となる英単語が見つかるまで慎重に本文を読み進める必要があり、問8の30字以上40字以内の日本語記述は、下線部直前の内容を分かりやすくまとめる必要がありました。
Ⅲ エッセイの読解(約770語):小問数6
友人から送られてきた動画について、筆者が感想を述べているエッセイです。1つの設問につき2つの英文を本文と照合する内容一致問題が2年ぶりに出されていて、各選択肢が正しいかどうかを慎重に検討する必要がありました。
Ⅳ ことわざの意味選択:小問数12
英語のことわざが12個あり、それらと同じ意味を表す日本語のことわざを選択肢から記号で選ぶ問題でした。ことわざの知識は慶應志木高では近年出題がなかったため、戸惑った受験生もいたと思われます。
Ⅴ 誤文訂正:小問数7
英文の正誤に関する問題が5年ぶりに出されました。基礎レベルの問題が多く、満点を目指したいところです。
Ⅵ 自由英作文:小問数1
自由英作文が2年連続で出題されました。父親の立場で、息子に返信するメッセージがテーマでした。2023年と比べて比較的書きやすいテーマなので、手堅く得点しておきたい大問でした。
数学
1 小問集合
(1)台形の回転体の体積、(2)二元二次不定方程式の2問構成でした。いずれも基本的な内容なので、素早く完答したい大問です。
2 文章題
登山にかかる時間がテーマの文章題でした。出題そのものは目新しい設定ではあるものの、与えられた条件の値を代入することで方程式の計算問題に帰着できます。落ち着いて取り組みたい問題でした。
3 証明
円周上の点と円の内部にある点によってできる角度の大小を比較する証明問題でした。シンプルな構図で難度は高くありませんが、解法の方針がすぐに浮かばなかった受験生もいたと思われます。
4 場合の数
取り出したカードに書かれた矢印の向きに従って、2点間を移動する場合の数の問題でした。(1)は基本問題ですが、(2)は選択した解法によって難度が大きく変わるため、正答率は高くなかったものと思われます。
5 平面図形
三角形と面積比に関する問題でした。過去の入試問題に類題が出されたこともあり、慶應志木高の受験生にとっては難しくなかったことと思われます。
6 二次関数
放物線と座標平面上の図形に関する問題でした。(2)は解法によって計算量に差がついたと思われます。(2)が正解できれば、(3)は時間をかけずに解けたことでしょう。
7 空間図形
多面体の頂点を切り落として残った立体の体積を求める問題でした。慶應志木高の受験生であれば、類題の演習経験があったと思われます。
国語
1 モーパッサン『宝石/遺産』
寄宿舎の学生を夏休みの間に指導することを託された神父が、車中で遭遇した珍事を描いた小説文からの出題でした。5年ぶりの海外作品で、文章は古めですが内容は難しくなく、この大問は手堅く高得点を狙いたいところです。知識は空欄補充の3問のみで、読解問題は記号・抜き出し・記述がバランスよく出されています。記述は表面的な出来事だけではなく省略された内容や心情に立ち入ってまとめる必要がありました。
2 森博嗣『科学的とはどういう意味か』
現代に生きる子供たちを非科学的な人間にしないようにするために、大人が取るべき科学への姿勢が論じられた文章です。文章自体は平易で分かりやすい内容でした。ただし大問1に続き10を超える設問を短時間で処理できたかどうかが大きなポイントでした。制限字数20字以内の記述では、筆者と異なる視点を自分で考えて記述する必要があり、思考力が問われました。
3 『井蛙抄』
2022年からの傾向通り、古文単独での出題でした。室町時代の歌論書です。基本的な単語の意味を問うもの以外はすべて本文内容の理解に関する問題でした。古文の学習をどこまで積み上げてきたかで読み取るスピードや得点に差が生じたと考えられます。
4 出題校による文章
学園祭に訪れた卒業生と在校生によるやりとりを題材にした文章でした。すべて近代から現代にわたる文学史の知識の問題でした。難度は、基礎から応用まで多岐にわたり、2023年最新の文学史に関するものまで出されています。